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水リスクが危険水域!バーチャルウォーター輸入大国日本が採るべき水ストレス対策とは?

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「データでわかる2030年 地球のすがた」(著・夫馬賢治,日経プレミアシリーズ,2020年7月)を読んだので、その感想です。以前読んだ、同じ著者の「カーボンニュートラル超入門」が端的でわかりやすかったので、手に取ってみました。

本書の対象は、一般ビジネスパーソン。取り上げられているのは、気候変動にともなう災害、食糧危機、消えゆく森林、フードロス、乱獲による水産資源の減少、水リスク、感染症、途上国の工場をめぐる人権問題など。

世界で問題視されていることがひととおり理解できるようになりたい!という人におすすめの本です。目次です。

「データでわかる2030年 地球のすがた」目次
第1章 顕在化した気候変動の猛威
第2章 迫りくる食糧危機の実態
第3章 消える森林と食品・小売企業への影響
第4章 食卓から魚が消える日
第5章 水をめぐる社会紛争--日本は世界有数の水リスクにさらされている
第6章 感染症の未来--コロナの次のリスクはどこに
第7章 世界のパワーシフト--日米欧の中間層割合が5割から3割に激減
第8章 サプライチェーンのグローバル化と人権問題
第9章 メガトレンドの理解度が勝敗を決する時代へ

気候変動による影響というと、ぱっと思い浮かぶのは海面上昇による水没や、大型台風やハリケーンによる被害ですが、影響は水浸しになることばかりではないんですね。場所によっては降水量が減り、水不足に陥ることもあります。結果、乾燥した地域では、山火事も発生しやすくなります。

また、気温が上がると生態系も変わります。そうなると、ある漁場でそれまで獲れていた魚が獲れなくなったり、ある作物の産地でその作物が育たなくなったり。

そこへもってきて、プラスチック汚染や、売れる作物をつくるための森林伐採、先進国による資源が豊かな途上国からの収奪という営みが加わり、問題は複雑に絡み合っています。

本書を読んであらためて思ったことは、日本はエネルギー資源に乏しく食料自給率も低いのに、節電の意識に乏しく、使い捨てのプラスチックを大量に排出し、まだ食べられる食品を捨てている。なぜこれがまかり通るのか?ということです。

ショックだったのは、第5章ですね。「日本は世界有数の水リスクにさらされている」。まず、日本の「バーチャルウォーター」の輸入量が多いことは知っていましたが、ここまでとは思いませんでした。

バーチャルウォーターとは、ある国の製品の輸出入を、その製品を作るのに必要な水の量に換算し、他国への水資源の依存度を測る指標です。本書によると、2019年の日本のバーチャルウォーターの輸入量は、年間約804トン。世界最大だそうです。

何でそんなことになっているかというと、牛肉、小麦、大豆の輸入量が多いから。これらの品目は、生産量あたりの水消費量が非常に多いので、日本は他国の水を大量に消費していることになります。

輸出元の国が水不足になればどうなるか?って話です。

でもまあ、そのときはそのときとして、日本には水が豊富だから飲料水とか生活用水には困らないよね?

と楽観視している人は少なからずいると思いますが、それも甘い、という予測を突きつけるのが本書です。

環境シンクタンク・世界資源研究所(略称WRI、SBIイニシアチブを構成する機関のひとつでもある)の予測では、気温が2.8℃から5.4℃上昇するシナリオを用いた場合、日本でも2040年頃には「水ストレス」が80%に達する地域が、大都市圏を中心に複数発生するとのこと。

「水ストレスは」、利用可能な淡水のうち何%を取水しているかという指標。数字が大きいほど水ストレスが高いことになります。水ストレスが高い地域では、断水しないように取水制限をしたり、排水を浄化して使ったりすることになります。

で、でもまあ、日本は海に囲まれているんだから、海水を淡水に変えればいいのでは?

と思ったら、それも甘かった。現在の技術では、残った塩分をどうするかという問題が解決していないといいます。淡水を取り出した後、大量の塩分を含む海水をプラントからそのまま放流すると、生態系を破壊することになります。

ということで、このまま温暖化が進行すると、輸入食料はおろか、豊富にあると思っていた水の入手すら危うくなるかもしれない日本。

「SDGsを“ジブンゴト”に!」などのキラキラしたスローガンを唱えるまでもなく、世界のリスクは十分に自分事なのだということを認識して、つつましく暮らしていきたいものだと思う次第です。

最後に、気候変動対応うんぬんは、投資家や大企業が自分たちの利益を守りたいから言ってるだけのたわごとでしょ?とお思いの方のために付け加えておきます。本書によると、

気候変動により激甚災害が多発
→企業や市民が被災
→損害保険会社が多額の保険金を支払う
→損害保険会社が加入している再保険会社が保険金を支払う
→再保険会社が発行している債券を購入した投資家が損失をこうむる
→投資家が保険会社から手を引く
→再保険会社が保険料を値上げ
→損害保険会社が保険料を値上げ

とのことで、自分が勤めている企業や家計にもかかわってくる話なのでした。やはり他人事ではないのであります。

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