電力融通を指示する「電力広域的運営推進機関」とは何者か?

電力広域的運営推進機関とは エネルギー
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冬の寒い日に暖房などで電力の需要が高まると、地域によっては電力が足りなくなることがあります。その場合、よそのエリアから電力を分けてもらうことができます。「電力融通(でんりょくゆうづう)」といいます。

ざっくり言うと、自分のところのエリアで電気が足りないから、よその電力会社のエリアから電気を送ってもらおうという話なのですが、関連のニュースを読むと何やら話がややこしげなんですよね。その理由はおそらく、「電力広域的運営推進機関」その他の見なれない用語のせいではないでしょうか?

そこで、このページでは電力広域的運営推進機関とは何かを中心に、関連する用語をさくっと説明することにします。最後までお読みいただくと、今後の「電力ひっ迫」「電力融通」ニュースが格段にわかりやすくなることうけあい。それではさっそく行ってみましょう!

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電力融通のニュースの例

電力融通のニュースの例を挙げましょう。例えば、2022年1月6日のロイターの記事です。

東京電力パワーグリッドは6日、厳しい寒さで電力需要が高まっているため、「電力広域的運営推進機関」に電力融通を依頼した。
これを受けて、電力広域的運営推進機関は東北電力ネットワーク、北海道電力ネットワーク、中部電力パワーグリッドに電力供給を指示、その後、関西電力送配電にも電力を供給するよう指示した。

出典:東京電力、他社に電力融通を要請 厳しい寒さで | ロイター(マーカーは筆者)

はい、「電力広域的運営推進機関」にマーカーをひっぱってみました。

どうやら「東京電力パワーグリッド」が「電力広域的運営推進機関」に電力融通を依頼、そして「電力広域的運営推進機関」が「東北電力ネットワーク」その他の会社に電力の供給を指示、という関係にあるようです。

この長ったらしい名前の組織は、いったい何でしょう?

そして「東京電力パワーグリッド」「東北電力ネットワーク」は「東京電力」「東北電力」と何が違うのでしょうか。次の見出し以降で、順番に疑問を解消していきましょう。

電力広域的運営推進機関とは

電力広域的運営推進機関とは、ものすごくざっくり言うと、全国の電力需要と供給を管理する中立的な機関です。2015年4月に設立されました。

通称は、「広域機関」または「OCCTO」です。「OCCTO」は英語名の「Organization for Cross-regional Coordination of Transmission Operators」の頭文字をとったもの。読み方は「オクト」です。この記事では、以下、主に「広域機関」と呼ぶことにします。

電力広域的運営推進機関公式ホームページ

広域機関を置くメリットは、電力会社の枠を超えて全国の送電系統や発電所を運用することができることです。各地域の電力会社にまかせきりにするより、大規模な災害への対応がスムーズになります。

主な業務には、各エリアの「送配電事業者」の供給計画のとりまとめと調整、インフラ整備の指導・勧告、電力ひっ迫時の電力融通の指示、新たな系統接続の受付などがあります。電力融通の指示は、広域機関の仕事のひとつなのです。

広域機関の指示

広域機関を置くことや、その業務の内容は、電気事業法で定められています。例えば、電力融通の指示は、電気事業法第28条の44にもとづくものです。法律の条文では、「広域機関」ではなく「推進機関」という用語が使われています。

(推進機関の指示)
第二十八条の四十四 推進機関は、小売電気事業者である会員が営む小売電気事業、一般送配電事業者である会員が営む一般送配電事業又は特定送配電事業者である会員が営む特定送配電事業に係る電気の需給の状況が悪化し、又は悪化するおそれがある場合において、当該電気の需給の状況を改善する必要があると認めるときは、業務規程で定めるところにより、会員に対し、次に掲げる事項を指示することができる。
(中略)
一 当該電気の需給の状況の悪化に係る会員に電気を供給すること。

なお、すべての電気事業者は、広域機関の「会員」にならなければいけません(電気事業法第28条の11)。すなわち、電気事業者はすべて広域機関の管理下に置かれることになります。電気事業者のうち、「一般送配電事業者」については、次の項目で説明します。

一般送配電事業者とは誰のこと?

一般送配電事業者とは、発電所の電気を需要家のところまで送り届ける役目を担う会社のことです。この役目は、自社の送電線や変電所を通じ、電気を使う人のところに送る業務です。「送配電事業」といいます。

あれ?それって東京電力とか関西電力など大手電力会社の役目じゃないの?と思った皆さん。2020年3月まではそうでした。しかし電気事業法の改正により、2020年4月に発電や電気の小売りと送配電は兼業しちゃいけないよ、ということになりました。これを「法的分離」といいます。

一般送配電事業者は10社あります。沖縄電力を除いて、それぞれもとの電力会社から独立し、子会社となっています。

送配電事業者 持株会社
北海道電力ネットワーク株式会社 北海道電力株式会社
東北電力ネットワーク株式会社 東北電力株式会社
東京電力パワーグリッド株式会社 東京電力ホールディングス株式会社
中部電力パワーグリッド株式会社 中部電力株式会社
北陸電力送配電株式会社 北陸電力株式会社
関西電力送配電株式会社 関西電力株式会社
中国電力ネットワーク株式会社 中国電力株式会社
四国電力送配電株式会社 四国電力株式会社
九州電力送配電株式会社 九州電力株式会社
沖縄電力株式会社

例えば、

  • 東京電力パワーグリッドは電力広域的運営推進機関に電力融通を依頼した」
  • 「電力広域的運営推進機関は東北電力ネットワーク北海道電力ネットワーク中部電力パワーグリッドに電力供給を指示、その後、関西電力送配電にも電力を供給するよう指示した」

などのニュースに登場する「パワーグリッド」「ネットワーク」「送配電」がついた会社は、みな一般送配電事業者です。

なお、沖縄電力は、送配電分離の例外です。理由は、分離によるメリットがないこと。沖縄本島や離島は他の電力エリアから遠く離れているため、何かあっても電気を融通しあうことができません。

むしろ送配電部門を独立させてしまうと、災害対応のときの指揮がとりにくくなったり、コストが高くなったりするおそれがあるので、一体化したままの方がいいのです。

まとめ

ということで、このページでは

  • 電力融通を指示する「電力広域的運営推進機関」とは何か
  • 電力融通を依頼したり指示を受けたりする「○○電力パワーグリッド」「○○電力ネットワーク」「○○電力送配電」は何者なのか

を説明しました。

おさらいしますと、「パワーグリッド」「ネットワーク」「送配電」が名前につく会社は、大手電力会社の送配電部門が独立してできた会社です。「一般送配電事業者」に分類され、発電所から受けた電気を電気を使用する人のところまで送り届ける役目を担います。

電力広域的運営推進機関」は全国の電力需要と供給を管理する中立的な機関です。「広域機関」「OCCTO(オクト)」とも呼ばれます。

覚えていただければ、次に「○○パワーグリッド管内の電力がひっ迫して広域機関に電力融通を依頼、広域機関は△△送配電に電力融通を指示」なんてニュースに出くわしても、すらすら読むことができるはずです。まあ、あまりあってほしくないニュースではありますがね。

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