ほぼ日書評チャレンジ中

このページにはプロモーションが含まれています。

【要は何】「電力広域的運営推進機関」とは?OCCTOの読み方や電力融通での役割を分かりやすく解説

電力広域的運営推進機関とは ESG
この記事は約7分で読めます。

電力広域的運営推進機関とは?まずは三行でざっくりと説明します。

電力広域的運営推進機関とは、全国の電力需要と供給を管理する機関
電力が足りなくなったエリアへの「電力融通」を指示したりする役目がある
通称は、「広域機関」または「OCCTO(オクト)」
エコじろう
エコじろう
電力融通って何だろう?

気温が急に変化して冷暖房に使う電気の需要が急に高まったり、災害で発電所が止まったりすると、電力が足りなくなることがあります。

そんな時、よその地域の一般送配電事業者は、電気が足りなくなった地域の一般送配電事業者に、電気を分けてあげます。これが「電力融通(でんりょくゆうづう)」です。

エコじろう
エコじろう
やや、一般送配電事業者?また耳慣れない言葉が出てきたなあ。

そうそう。そこも説明が必要なところでした。

以下、このページでは、電力広域的運営推進機関とは何者か?ということを中心に、電力融通の仕組みや、関係者についてご説明したいと思います。

小秋
小秋
最後までお読みいただくと、今後の「電力ひっ迫」のニュースが格段にわかりやすくなることうけあい。それでは行ってみましょう!
スポンサードリンク

電力広域的運営推進機関のニュースの例

電力広域的運営推進機関が登場するニュースを見てみましょう。例えば、2022年1月6日のロイターの記事です。

東京電力パワーグリッドは6日、厳しい寒さで電力需要が高まっているため、「電力広域的運営推進機関」に電力融通を依頼した。
これを受けて、電力広域的運営推進機関は東北電力ネットワーク、北海道電力ネットワーク、中部電力パワーグリッドに電力供給を指示、その後、関西電力送配電にも電力を供給するよう指示した。

出典:東京電力、他社に電力融通を要請 厳しい寒さで | ロイター(太字は筆者)

どうやら「東京電力パワーグリッド」が「電力広域的運営推進機関」なるところに電力融通を依頼して、「電力広域的運営推進機関」が「東北電力ネットワーク」などに電力の供給を指示した、という関係にあるようです。

エコじろう
エコじろう
むむむ、関係者の名前が長ったらしくてわかりにくいなあ。

まずは電力広域的運営推進機関から、疑問を解消していきましょう。

電力広域的運営推進機関とは?

電力広域的運営推進機関とは、全国の電力の需要と供給を管理する中立的な機関です。2015年4月に設立されました。

通称は、「広域機関」または「OCCTO」です。「OCCTO」は英語名の「Organization for Cross-regional Coordination of Transmission Operators」の頭文字をとったもの。読み方は「オクト」です。

電力広域的運営推進機関公式ホームページ

小秋
小秋
この記事では、以下、主に「広域機関」と呼ぶことにします。

広域機関を置くメリットは、電力会社の枠を超えて、全国の送電系統や発電所を運用することができることです。各地域の電力会社にまかせきりにするより、大規模な災害への対応がスムーズになります。

広域機関の主な業務には、各エリアの「送配電事業者」の供給計画のとりまとめと調整、インフラ整備の指導・勧告、電力ひっ迫時の電力融通の指示、新たな系統接続の受付などがあります。電力融通の指示は、広域機関の仕事のひとつなのです。

広域機関の指示

広域機関を置くことや、その業務の内容は、電気事業法で定められています。例えば、電力融通の指示は、電気事業法第28条の44にもとづくものです。

ちなみに法律の条文では、「広域機関」ではなく「推進機関」という用語が使われています。

(推進機関の指示)
第二十八条の四十四 推進機関は、小売電気事業者である会員が営む小売電気事業、一般送配電事業者である会員が営む一般送配電事業又は特定送配電事業者である会員が営む特定送配電事業に係る電気の需給の状況が悪化し、又は悪化するおそれがある場合において、当該電気の需給の状況を改善する必要があると認めるときは、業務規程で定めるところにより、会員に対し、次に掲げる事項を指示することができる。
(中略)
一 当該電気の需給の状況の悪化に係る会員に電気を供給すること。

なお、すべての電気事業者は、広域機関の「会員」にならなければいけません(電気事業法第28条の11)。すなわち、電気事業者はすべて広域機関の管理下に置かれることになります。

小秋
小秋
電気事業者のうち、「一般送配電事業者」については、次の項目で説明します。

一般送配電事業者とは誰のこと?

一般送配電事業者とは、発電所でつくられた電気を、電力のユーザーのところまで送り届ける役目を担う会社のことです。送電線や変電所などを持っています。

エコじろう
エコじろう
それって、東京電力とか関西電力とかの大手電力の役目だよね。大手電力のことを一般送配電事業者って言うの?
小秋
小秋
いえ、違います。一般送配電事業者は、大手電力会社から独立した別の会社です。2020年3月までは、大手電力会社の本体が送配電事業も手掛けていたんですけどね。

電気事業法の改正により、2020年4月に発電事業や電気の小売り事業と、送配電事業は兼業しちゃいけないよ、ということになりました。これを「法的分離」といいます。

一般送配電事業者は10社あります。沖縄電力を除いて、それぞれもとの電力会社から独立し、子会社となっています。

送配電事業者 持株会社
北海道電力ネットワーク株式会社 北海道電力株式会社
東北電力ネットワーク株式会社 東北電力株式会社
東京電力パワーグリッド株式会社 東京電力ホールディングス株式会社
中部電力パワーグリッド株式会社 中部電力株式会社
北陸電力送配電株式会社 北陸電力株式会社
関西電力送配電株式会社 関西電力株式会社
中国電力ネットワーク株式会社 中国電力株式会社
四国電力送配電株式会社 四国電力株式会社
九州電力送配電株式会社 九州電力株式会社
沖縄電力株式会社

例えば、

  • 東京電力パワーグリッドは電力広域的運営推進機関に電力融通を依頼した」
  • 「電力広域的運営推進機関は東北電力ネットワーク北海道電力ネットワーク中部電力パワーグリッドに電力供給を指示、その後、関西電力送配電にも電力を供給するよう指示した」

というニュースに登場する「パワーグリッド」「ネットワーク」「送配電」がついた会社は、みな一般送配電事業者です。

エコじろう
エコじろう
沖縄電力が、送配電分離の例外な理由は何なの?

理由は、分離によるメリットがないこと。沖縄本島や離島は他の電力エリアから遠く離れているため、何かあっても電力融通ができません。

むしろ送配電部門を独立させてしまうと、災害対応のときの指揮がとりにくくなったり、コストが高くなったりというデメリットがあるので、一体化したままの方がいいのです。

以上が、一般送配電事業者の説明です。広域機関は、一般送配電事業者の電力と需要を管理し、必要な場合は電力融通を指示するという関係にあります。

まとめ

ということで、このページでは主に「電力広域的運営推進機関」とは何かということについてご説明しました。

最後に3行まとめをもう一度見てみましょう。

電力広域的運営推進機関とは、全国の電力需要と供給を管理する機関
電力が足りなくなったエリアへの「電力融通」を指示したりする役目がある
通称は、「広域機関」または「OCCTO(オクト)」

また、広域機関の会員である「一般送配電事業者」とは何かについても触れました。

こちらもおさらいしておきますと、一般送配電事業者とは、発電所から受けた電気を電気を使用する人のところまで送り届ける役目を担う会社。大手電力会社の送配電部門が独立してできた会社で、元の電力会社の名前に「パワーグリッド」「ネットワーク」「送配電」がつくのが特徴です。

このページの説明が、電力ひっ迫や電力融通のニュースを読み解くお手伝いになりましたら幸いです!

タイトルとURLをコピーしました