Amazon Prime Videoで「アメリカン・メルトダウン(原題:American Meltdown)」を観たので、その感想です。
「アメリカン・メルトダウン」は、2004年にアメリカのTV局「FX」で放映されたアメリカのテレビ映画です。
アマプラのページには「2021」とありますが、おそらくPrime Videoに追加されたのが2021年という意味なのでしょう。2021年の映画だと思って観ると、ちょっと肩透かしを食らいますので注意が必要です。肩透かしの内容は、後述します。
「アメリカン・メルトダウン」のあらすじは、カリフォルニア沿岸にあるサンフアン原子力発電所が、中東系と思われるテロリスト集団に襲撃され、アメリカ政府、軍、FBIなど関係当局が対応を迫られるというもの。
物語は、FBIの特別捜査官シーアの視点を中心に展開しますが、彼が主役!という感じはありません。淡々と画面が切り替わり、ドキュメンタリーっぽいつくりになっています。
シーアは、過去に中東のテロ対応で問題を起こしたらしく、政府や軍の要人からは
「あいつか…他に誰かいなかったのか」
という扱いになっています。
演ずる俳優さんはブルース・グリーンウッド。キューバ危機を描いた映画「13 days」でケネディ大統領を演じた人です。
原発施設内に閉じ込められた女性警官役にはレスリー・ホープ。米ドラマ「24 -TWENTY FOUR-」で、主人公ジャック・バウアーの妻役を演じた人です。
さて、「肩透かし」というのは、この映画の演出や扱われている内容が、2022年現在、目新しいものではないことです。
まず演出。監視カメラ映像を多用してドキュメンタリーのように見せる手法も、当時は斬新だったのかもしれませんが、もはやそれ自体に感動はありません。
ちなみに、監視カメラを用いた映画で、私が最初に強い印象を受けたのは「パラノーマル・アクティビティ」だったと記憶しているのですが、あれが日本では2010年公開でした。
もう12年になるのか…早いもんです。
そして内容ですが、例えば、「君をグアンタナモに送ることもできる」などという脅しは、色々明るみに出てしまった今では陳腐に聞こえます。2021年には、元収容者の手記にもとづく映画「モーリタニアン 黒塗りの記録」なんていうのも製作されましたしね。
さらに、「劣化ウラン弾」や「ホームグロウンテロリスト」も、すでに現実の問題として広く知られるところですし、また、原発のここがダメージをうけたらアウトというのは、2011年の福島第一原発の事故で周知の事実になってしまいました。
さらに、原発に関して政府が「こんなの想定してなかった」とうろたえる事態がありうるということも、残念ながらフィクションではないんですねー。
ということで、個人的にはちょっと期待はずれだったという印象の「アメリカン・メルトダウン」。
人物描写や、ストーリー自体は悪くなかったと思いますので、まだ私が映画や現実のニュースの視聴体験でスレてなかった2000ゼロ年代に観たかったなーというのが率直な感想です。