ふと振り返ってみると、最後にTOEICを受験したのは2020年1月です。スコアは860でした。ベストは2016年の925です(念願の900超達成!TOEICのスコアが890点から925点にアップするまでの英語勉強法)。同じ年の秋には、英検準1級にも合格しました(2016年2回英検準1級の成績表と合格証明書が届いた)。
そのような到達点があり、2020年のTOEIC前もさぼっていたわけではないので、このスコアの下落っぷりはかなりショックでしたねー。これ以降は、コロナウィルス感染が怖いのと、さらにスコアが下がるのも嫌なのとで、受験はしていません。
英検は「次は1級だ!」という波がほぼ周期的に訪れ、「でる順パス単」「文で覚える単熟語」なんかを開いたり、過去問集にチャレンジしたりしていますが、どうも実力が向上しているような気がしないというか。
気がついてみると、結局、毎日欠かさず取り組んでいるのはNHKのラジオ英会話と「英語のハノン」だけだという状態です。おかげで発音はかなり向上した感があり、また口をついて出てくるフレーズも増えました。
しかし、最近焦りがあります。今の英語力では有事の際に国外脱出をしたり、強制徴用されてしまうとしてそこで苦役をまぬがれたりすることは難しいでしょう。挙国一致体制とカルトが合体したような内閣が誕生した昨今、それでは心許ないですね。
何よりこのまま「TOEICで925点を取ったことのある人」「英検準1級ホルダー」の肩書だけで終わってしまうのは、英語に割いた時間や費用に対してタイパコスパが悪いではないか?
というところで、手にとったのがスタディサプリ講師の関正生さん著「カラー改訂版 世界一わかりやすい英語の勉強法」です。Kindle Unlimitedで読みました。
「カラー改訂版 世界一わかりやすい英語の勉強法」を読んでみようと思った二つの理由
英語勉強法の本は世の中に数多ありますが、本書を読んでみようと思った理由は二つ。
ひとつは「機動戦士ガンダム THE ORIGINの英語」の関さんの英文解説を読んで、この英語の先生は信頼できそうだという印象を持っていたこと。
ガンダムの名台詞が「THE ORIGIN」の英語版でなぜそのような表現になっているか、キャラクターの性格を踏まえてわかりやすく説明してくれています(シャアだと気取った言い回しになるとか、ミハルの語彙は庶民っぽいとか)。
二つ目は、この本の冒頭「本書の特徴」に書かれたこの一節。
英語の勉強法といえば「アメリカ大統領のスピーチ」や「海外のニュース」などをメイン教材とするものが多いのですが、正気ボクはこういったものに興味がありません。海外ドラマすら10分で挫折しました。
英語リスニング力向上の一助にと、著名人の演説やシットコムがいいよ!と勧める向きに何とはなしの反感を覚えていた私は、これに共感。自分の興味ある英語素材でいいんだよ、というアドバイスには拍手を送りたくなりました。
Part3の「読むスピードが速くなる「3つの力」とは」から読むのがおすすめ
さて、そんな「世界一わかりやすい英語の勉強法」の感想です。本書はPart1から7までの7部構成になっています。
目次
Part 1 語学に必要な「メンタル」を鍛えよう!
Part 2 世界一わかりやすい「単語・熟語の勉強法」
Part 3 世界一わかりやすい「文法・リーディングの勉強法」
Part 4 世界一わかりやすい「リスニング・発音の勉強法」
Part 5 世界一わかりやすい「ライティング・スピーキングの勉強法」
Part 6 プロ講師の「学習ツール活用法」
Part 7 基礎トレーニング後の「英語の試験対策」
各パートは、6~7の項目に分かれています。それぞれ数ページぐらいなので、すき間時間でも読みやすい。各項目の最後にまとめがついているのも親切です。
ただ、メンタルの鍛え方から各技能の勉強法、分野別・試験別の対策まで網羅されており、とにかく内容が豊富。自分が英語の勉強法の何を知りたいかがわかっていない状態で読むと、情報量に圧倒されてしまうかもしれません。
そんな方に私がおすすめしたいのは、まずPart3「読むスピードが速くなる「3つの力」とは」(P.94)を読むことです。
その理由は、リーディングだけではなく他の3技能に通じることも書かれていますし、英語学習に対する本書のスタンスもわかるから、というものです。
速く読むための「3つの力」とは、
➀単語の瞬発力(0.1秒で単語の意味が浮かぶか?)
➁英文解釈力(英文の構造を正しく把握できるか?)
③音読力(日本語を介さずに英語をそのまま理解できるか?)
です。
まず「➀単語の瞬発力」ですが、ここを見て「いや、できてないな」と思った方はPart2の「単語は0.1秒で意味が言えるまで繰り返す」(P.63)に行ってみてください。この項目の前後に「1カ月に6回、同じ単語に目を通す」「誰でも1カ月で1000語覚えられる方法」など具体的なメソッドが書かれた項目があります。
「➁英文解釈力」は、「英文の構造をキッチリつかむこと」ですが、本書はこの点容赦ありません。巷では英文解釈なんてしてたら速く読めないという説もあるようですが、関先生はそれを「メチャクチャなこと」と否定した上でこう言います。
ビジネス、TOEICなどの資格試験、要所、英字新聞に必要とされる英語力には「英文解釈」が絶対に必要です。英文解釈をやると、英文の構造を予想する力がつき、きちんと英文が読めるようになります。きちんと読めれば、読むスピードも上がります。
推薦図書は「英文解釈教室(新装版)」(著・伊藤和夫/研究社)です。
と、ここで思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。そんな地道な勉強ができるくらいなら、「世界一わかりやすい英語の勉強法」なんて本は手にとってないんだよ!と。
いや、そうなんです。本書はタイトルは柔らかめですが、正しい型を学び、地道に努力を積み重ねるのをよしとする、実にストイックな姿勢の本なのです。
「③音読力」についてもまたしかりで、「英文解釈できちんと理解した英文」を30回読もう、というアドバイスがあります。「何度も繰り返して同じ英文に触れていくうちに、英語を英語のまま処理できるようになるんです」とのこと。
音読についての細かい注意点がP.99に載っていますので、ちょっとがんばってみようかなあという方は必見です。目標は1日30分で、一気に30回読む必要はなく、1日5回×6日が目安。声の大きさは関係ないとのことです。
なお、音読するにあたって、「自分は発音がよくないから抵抗ある」という方に一読をおすすめしたいのは、Part4「発音記号を覚えると英語の音を聞き分けられる」(P.134)です。
いや、発音記号ほんとおすすめ。というのは、私は学生時代からずっとこの記号が苦手で、全く覚える気がしなかったのですね。
それが、あるときふと思い立って、音声付きの教材の音を聞きながらテキストに発音記号をメモっていくようにしたところ、1年ぐらいで音が聞き分けられるようになってきました。
今では、初見の単語でも「オー」のように聞こえる音が[ɔː]なのか[ou]なのか、「ア」のように聞こえる音は[æ][ʌ][ə]のどれなのかがわかります。「she[ʃíː]」「sea[síː]」も区別して読めます。それらしく発音できるようになると、音読の際などにぐっとテンションがあがりますので、ぜひお試しを。
ガチで英語の勉強をしたい人におすすめ
というところで以上、本書「世界一わかりやすい英語の勉強法」のどこから手をつけていいか分からない人は、Part3の「読むスピードが速くなる「3つの力」とは」から読んでみてはどうかというご提案でした。
本書の全体に目を通しての私の感想は、
「英語を勉強するにあたって、語彙はちょっとでいいとか、文法なんか不要だとか、英文解釈なんか時代遅れだとか、発音はブロークンでいいとかいう人がいる。自分はそれなりに勉強する覚悟はあるのだが、ガチで勉強していたら馬鹿だと思われるのでなかろうか。どうしよう」と心配している人の背中を「安心して努力してください!」と全力で後押しする本
というものです。
Amazonの本書のレビューにどなたかが「最後は根性」みたいなことを書いてましたが、同意。私も安心して(観念して)、地道に頑張っていこうと思います。