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三越伊勢丹が「お問い合わせ」を通じて集めた資料に学ぶ日本の年中行事のいまむかし

三越伊勢丹 日本の年中行事 暮らしアルバム 一般教養
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『三越伊勢丹 日本の年中行事 暮らしアルバム』(著・三越伊勢丹)という本を読んだので、今日はその感想をお届けします。

この本は、百貨店の老舗である三越伊勢丹が、お客からの問い合わせに答えるべく蓄積してきた知識や資料を通して、日本の年中行事の由来、本来の姿、そして現在の姿を写真とともに読み解いてくというものです。

図書館でたまたま赤い背景に日本の季節の風物が散りばめられた表紙が目にとまり、「あ、これは素材屋小秋のイラストのネタにいいかも」と、手に取ってみたのですが、期待以上の内容でした。

お正月から大みそかまで、順を追って紹介されている年中行事のページは、一見開きに1トピックで見やすく、イメージがよく伝わるカラー写真付き。解説は平易でコンパクト、しかも英語の解説まで付いているという充実ぶり。

英語を勉強中で、季節の素材イラスト描きであり、色彩をより深く語るために、日本の文化に詳しくなりたいという思いがある私のために書かれたような本ではないか!ということで、現在、常に手元に置いて楽しく眺めたり、英文を音読したりしています。

英文は、必ずしも日本語の解説の全訳・直訳というわけではなく、かなり簡略化されていて、日本のことをほとんど知らない人にも伝わりやすい内容となっているのが特徴。例えば、「秋祭り」は英語では ”Autumn Festival” として、こんな風に紹介されています。

Autumn Festival during September and October began as a thanksgiving for harvests. Shrines all over Japan have their biggest festivals for the year. Fork entertainments are dedicated, and minutiae shrines are carried around by the people of the local community. The approach to the shrine is lined up with traditional stalls.

(小秋訳)——————————————————————
9月から10月にかけて行われる秋祭りは、穀物の収穫に感謝するために始まりました。日本全国の神社は、1年で最大のお祭りを行い、地域の人々は民俗芸能を奉納したり、お神輿をかついで練り歩いたりします。参道には、昔ながらの露店が並びます。
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日本語の解説は、もう少し突っ込んだ内容で、「重陽の節句」「おくんち」「例大祭」「神楽」「氏子」「町内会」などのキーワードが登場するのですが、英文ではそこまで触れられていません。

当初は、それを少し残念に思いました。が、考えてみると、他国の人にとって秋祭りを重陽の節句から解説されることは、私たちがハロウィンの歴史を古代ケルトの風習にまでさかのぼって語られるのと同じようなもんではないかと。

少なくとも、手軽なガイドなつもりで手に取った本には、誰もそこまで要求しないんじゃないかということで、このような分量、濃度の英文に落ち着いたのではないかと推察されます。

ただ、単語の選択についてはちょっと不安が…この記事を書くことによって、たまたま見つけてしまったのですが、何かと言いますと、上記の英文。本書に印刷されているのと、自分がタイプしたものを読み比べてみたところ、本書の方は、「お神輿」が “minutiae shrines” となっているのに、私は当初 “miniature shrines” と打っておりまして。

おっと、読み間違えてたわ、そして “minutiae” って未知の単語だなあと思って調べてみたところ、”minutia” の複数形で、”minutia” は「ささいなこと、つまらないこと」という意味であることが判明。で、お神輿なのに「つまらないこと」っていいんだろうか…と思ったわけなのですが、いかがなもんでしょう。ちなみに、一般的なのは、”miniature shrines” のようです。

ということで、べた褒めするつもりでレビューを開始したところ、図らずもケチをつける結果になってしまった『三越伊勢丹 日本の年中行事 暮らしアルバム』ですが、今のところ上記以外に問題は見つかりません。

伝統的な年中行事だけではなく、バレンタインやクリスマスなど、近代以降に日本に入ってきて独自の進化をとげたイベントも収録されていますし、外国の方に日本を紹介する機会がある方は、一冊手元に置いておくと重宝するんではないかと思います。

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