ほぼ日書評チャレンジ中

このページにはプロモーションが含まれています。

五輪エンブレムのパクリ騒動というバイアスを取っ払って学びたいデザイナーの思考モデルチェンジ術

この記事は約4分で読めます。

本書は、2010年に刊行された佐野研二郎氏の著書『今日から始める思考のダイエット』を加筆修正し、タイトルを変更して発行された新装版。巻末に、『告白』『悪人』『モテキ』などの映画プロデューサー川村元気氏との特別対談も追加されています。発行は2013年8月30日。

アマゾンの商品紹介を一部抜粋。

手がけた商品、キャラクター、キャンペーンを必ずヒットさせるアートディレクター佐野研二郎氏。本書は佐野氏が初めて明かす、成功への思考プロセス集。プランを立て、生活を改善し、運動をし、筋力をつけ、持続させる身体のダイエットになぞらえ、7日で思考プロセスのモデルチェンジへと導きます。

いやー、まさか2年後に、2020年東京五輪エンブレムのデザイナーとして頂点のひとつを極め、その直後に盗用疑惑の極悪人として日本中に名が知れ渡るようになろうとは、想像もしていなかっただろうなあ。

作品例として、多摩美大の広告とか、ブタ鼻のマグカップとか、TOYOTAのキャンペーン「ReBORN」のロゴとか、TBSのキャラクター「TブーS」とかの写真が掲載されているんだけど、なぜか読んでいる私の胃がキュッと縮む。

文章を読んだ感想は、一流クリエイターの著作としては親しみやすいなあというもの。私は、デザイナーの人が書いた本は難解なことが多いという印象を持っているのですが、本書は「ビジネスを加速させる○○個の方法」のようなビジネス啓発本に近いように感じられます。

あと、下記の一節にはあんまり説得力がないように感じられた。

どうして このアイデアなのか
どうして このデザインなのか
どうして このアプローチなのか

全て言葉できちんと説明できなければなりません。

ただ、私が本書を手に取ったのは、エンブレム騒動の後なので、一連の疑惑によるバイアスがかかっているだけで、実は刺さる何かが書いてあるのかもしれない

そこで、Amazon の同書の紹介ページで、他の人の書いたレビューを読んでみることにした。

現在、レビューは69件で最も古いレビューがこちら。星は一つ。

2020東京五輪のエンブレムをデザインした人
投稿者Q太郎2015年7月29日

著者の佐野 研二郎 さんは東京五輪のエンブレムをデザインした人です。そして、そのデザインがベルギーの劇場のロゴにそっくりだとパクリ疑惑が上がっています(7/29日現在)。(以下略)

エンブレム騒動以前はレビューついてなかったようで。個人攻撃のみが目的の書きこみに使われていて、さすがに気の毒。

では、元となった『今日から始める思考のダイエット』のレビューはどうだろうか。

こちらの方には、

わかりにくカタカナでけむにまく分かったような分からないようなタイプの本ではなくて、シンプルにわかりやく力強いメッセージ(2012年3月21日)

伝わってなんぼ、そのためには、ということがシンプルに各々に置き換えながら実践できるようにわかりやすく書いてあります(2010年12月6日)

第4章ブランド構築のダイエットでは、永く愛着を持った仕事をするための心がまえについて考えるきっかけとなりました(2010年5月12日)

など好意的なコメントが(日付は筆者が記入したもの)。そして、中でも熱が入ったレビューがこちら。日付は2010年4月5日。

「締切りを3度設ける」など、
ついつい、仕事を先送りにしてしまうわたしにとって、
さっそく実践したくなるようなヒントが満載でした。

佐野さんのお人柄もにじみ出ていて、
前向きな言葉もたくさん。
また明日からがんばろうという活力が得られる一冊です。

私も、思考のダイエットをして、
次回の社内会議に臨みたいと思いました!!

うーん、もしこれらのレビューが提灯でなければ、この人たちは激しくがっかりしたことだろう。気の毒に。

ところで、今これを書きながら、巻末収録の川村元気氏との対談の中に、心にひっかかる箇所があったことを思い出した。

川村氏が文、佐野氏が絵を担当した「ふうせんいぬティニー」の着想の話。同プロジェクトは、川村氏が「風邪をひくと、いつも風船に吊るされた犬の夢を見るんです」と、紙ナプキンにイラストを描いたところから始まったという話なんですが、以下引用。

佐野 しかも驚いたことに、僕、美大生の時に動物が風船に吊るされている絵をすでに描いているんですよ。ずっと忘れていたんですが、ひょんなことから卒業制作を見返していたら、その中のひとつに、川村さんが紙ナプキンに描いたイラストとほとんど同じような絵があった。しかもそのときのテーマが「夢」。さすがにこれは何かの暗示なんじゃないかって、怖さすら感じました。

川村 あの絵を見せてもらったときは、ほんと驚きましたね。佐野さん、僕が牛鍋屋で描いたイラストを見たとき、「これはすごい!こんなキャラクター初めて見た!」なんて言ってたのに(笑)。

佐野 いやあ、20年も前のことだからすっかり忘れていましたけど、夢でお会いしてたんですね(笑)。

佐野氏の発言の真意や、そのような卒業制作が実際に存在したかどうかを知る術はないが、ずっとエンブレム騒動その他を追っかけてきた者の目には、なにやら暗示的に映る一節。もしかすると、エンブレムその他にも夢で会っていたのかなあとか思ったり。

タイトルとURLをコピーしました