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需給調整市場とは?容量市場との違いを知識ゼロからわかりやすく解説

需給調整市場とは ESG
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電力システム改革の一環として、2021年に「需給調整市場」がスタートしました。さて、この市場ではどんな商品が取引されるのでしょう?

「需給調整市場」とは?という疑問に対し、よく「ΔkWh価値の取引をするところ」などという説明を見かけます。しかし、文系の人は「Δ(デルタ)」という記号を見るだけでイヤになって、本やブラウザをそっと閉じたりしたくなるのではないでしょうか。

このページでは、そんな皆さんにもアレルギーが起こらないよう、「需給調整市場」とは何かを全力でわかりやすくお伝えしたいと思います。商品、売り手、買い手など要はこんな感じ!というところをざっくりと説明しますので、お付き合いいただければ幸いです。

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需給調整市場の売り手と買い手は?

需給調整市場」とは、「需給調整力」を取引する場。「需給調整力」とは、必要に応じて発電や節電を実施し、バランスをとる能力のことです。

電気というのは、常に需要と供給のバランスをうまく合わせてやる必要があります。需給が合わないと周波数が不安定になり、電子機器が不調をきたしたり停電したりと、色々困ったことが起こるからです。

ですので、発電所から電気を使う人のところまで電気を送り届ける役目を担う会社(「一般送配電事業者」といいます)は、事前に担当エリアの発電の計画をとりまとめるなどして、需要と供給のバランスを見張っています。

しかし、物事が計画どおりに運ばないこともあります。例えば天気が急に悪くなって太陽光発電ができなくなるとか、火力発電所が故障するとか。

そんな時に、一般送配電事業者が「電気が足りなくてバランスがくずれそう!売ってくれる人急募!」ということで募集をかけ、それに応じた人たちと取引をするのが需給調整市場です。

需給調整市場のイメージ図

「一般送配電事業者」というのは、送電線や変電所などの設備を持っている会社のこと。東京電力パワーグリッド、関西電力送配電、北海道電力ネットワークなど、大手電力会社の子会社10社がこれにあたります。

需給調整市場は、この一般送配電事業者うち、沖縄電力を除く9社によって設立されました。これら9社が、需給調整市場における買い手です。

一方で、売り手となるのは電気をつくったり貯めたりするしくみを持っている人たち。発電事業者や「アグリゲーター」と呼ばれる人たちが含まれます。

「アグリゲーター」は、ざっくり言うと小規模な発電所や、節電(「デマンドレスポンス」などといわれている仕組みで浮いた電気)の取りまとめをする人とご理解ください。

需給調整市場の取り扱い商品

需給調整市場で取引されるのは「需給調整力」だという説明をしましたが、このへんをもう少し具体的に。

これを書いている2022年1月現在、需給調整市場で取引されている「商品」は「三次調整力②」だけです。「三次」「②」というのは、一次とか二次とか①があるからなのですが、それらについては後でご説明します。

需給調整市場の商品「三次調整力②」とは、取引成立の翌日に、指令があれば45分以内に応答し、3時間以上続く供給力のことです。

一般送配電事業者さんが

電力の需給のバランスがやばいから、明日、三次調整力②を買うよ!

と市場に声をかけると、我こそはという発電事業者さんやアグリゲーターさんが

うちがその商品を売るよ!

と答えます。取引が成立したら、その発電事業者さんたちは翌日、一般送配電事業者さんの指令に備えなければなりません。

商品が三次調整力②の場合、指令があれば、発電事業者さんたちは45分以内に態勢をととのえ、一般送配電事業者さんに3時間以上電気を供給することになります。

需給調整市場で取引される他の商品には、「三次調整力①」「二次調整力②」「二次調整力①」「一次調整力」があります

それぞれの商品のメニューはこんな感じです。三次調整力①は2022年4月から取り扱い開始。ほかは2024年度からの予定です。三次、二次、一次の順に、要件が厳しくなります(二次の①②には細かい違いがありますが、ここでは省略します)。

■需給調整市場の商品

  • 三次調整力②…45分以内に応答、3時間以上継続
  • 三次調整力①…15分以内に応答、3時間以上継続
  • 二次調整力②、二次調整力①…5分以内に応答、30分以上継続
  • 一次調整力…10秒以内に応答、5分以上継続

「容量市場」との違いをわかりやすく言うと?

ところで、ここまでお読みになっていて「あれ?似たような電気の市場の話を他で聞いたような気がするよ?」と思った方もいるかもしれません。

おそらくそれは「容量市場」ではないでしょうか。

容量市場とは、2020年スタートした電力の取引市場です。ここで取引されるのは「4年後の電力の供給力」。通称「広域機関」と呼ばれる電力広域的運営推進機関が運営しています。

容量市場のしくみ

容量市場では、広域機関と電気の供給力のある人たちが、「4年後に1キロワットあたりいくらで電力を売り買いします」という約束をします。

需給調整市場との違いは、需給調整市場で取引されるものが、次の日の需給のバランスをとるのに必要な電力の供給力であるのに対して、容量市場で取引されるのは未来の電力の供給力であること。

なんで4年も先の供給力を心配するかというと、電力を供給するための設備やしくみを整えるには、時間とお金がかかるからです。

将来の収入の心配があると、発電事業者さんたちが設備投資をしなくなり、いざというときに必要な電気をつくることができなくなるかもしれません。

そこで、発電事業者さんたちが安心して設備投資ができるように、将来の電力の供給能力を取引するしくみが「容量市場」です。くわしくは、別にページを設けてありますのでご参考ください。

「容量市場」とは?最新オークション結果をとことん理解するための基礎知識まとめ
「電力広域的運営推進機関」略して「広域機関」。全国の電力の需要と供給の取りまとめをしている中立的な組織ですが、その役目の...

まとめ

ということで、このページでは2021年にスタートした電力の「需給調整市場」について、商品や売り手、買い手など基本のところや、同じく電力の取引市場である「容量市場」との違いをざっくりとご説明しました。

おさらいしますと、

  • 需給調整市場とは、2021年にスタートした電力の市場
  • 取引されるのは、翌日の電気の需要と供給のバランスをとるための供給力
  • スタート時の取り扱い商品は「三次調整力②」。45分以内に応答、3時間以上継続する電気の供給力
  • 2022年4月以降、新商品が追加される予定
  • 容量市場が4年後の供給力を取引するのに対し、需給調整市場は明日の供給力を取引するという違いがある

となります。今後、需給調整市場の商品や運用どうするかについては、今も議論が重ねられており、制度が変わるたびにニュースで報じられるかと思います。

お友達や同僚、ご家族が「?」という顔をしていたら、「ざっくり言うとこんな制度だよ!」と説明してあげてくださいね。

参考資料:
需給調整市場の取引状況|2021年9月24日資源エネルギー庁(PDF)

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