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資源生産性とは何か?企業経営への取り入れと成功事例三つ

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前回の記事SDGsとは?エコプラザ大阪「利益を生みだす環境ビジネス講座」の感想の続きです。6月28日に行われた同講座第1回目「サステナブル社会を目指して」の内容から、特に興味深かった「資源生産性」の話をご紹介します。

資源生産性とは?

資源生産性とは何かを3行で説明すると、こんな感じでしょうか。

  • 国がどれだけ資源を有効活用したかを示す数字
  • GDPを天然資源等投入量で割ったもの
  • 数値が高いほど資源を有効活用していることになる
  •  

eco検定のテキストだと、こんな風に解説されています。

投入された資源をいかに効率的に使用して経済的付加価値を生み出しているかを測る指標で、GDP(国内総生産)を天然資源投入量(国内・輸入天然資源及び輸入製品の総量)で割ることによって算出しています。

改訂6版 環境社会検定試験eco検定公式テキスト P.125より

ちなみに、資源生産性は、eco頻出キーワードのひとつ。国の「循環基本計画」で数値目標が決まっていて、2013年度実績は37.8万円/t、2020年度目標は46万円/tとのことです。

企業の資源生産性向上例3つ

エコプラザの講義では、この資源生産性の考え方を企業経営に取り入れ、無駄を減らしたり、業務を効率化したり、倒産の危機を回避したりした例が紹介されました。授業で配布された、講師の立山裕二氏の資料より、特に興味深かった事例を三つ引用させていただきます。

①コミュニケーションを円滑にして、材料の使用量や廃棄物の量を減らした

ある会社のA部とB部では、それぞれ1mの原料を使って60cmの製品を作り、残り40cmは捨てていました。

しかし検討の結果、両部の製品は、それぞれ50cmでも問題がないことが判明。そこで、二つの部は、1mの材料を半分ずつ使うことにしました。

結果、原料は以前の半分で済むようになり、合計80cmだった廃棄物は、ほぼゼロになりました。

②図面の管理を見直して、倒産を避けることができた

また別の会社では、機械部品の図面の管理がずさんで、技術者が過去の図面を探すことがとても困難でした。

そこで、技術者は、部品が必要になる度に新たに設計を行なっていました。当然、大幅な時間・資源のムダが発生し、ミスも絶えませんでした。やがて、会社は倒産の危機に!

そこで、会社は図面の管理を徹底し、検索を容易にすることに。結果、ムダ・ミスを削減することに成功し、「図面倒産」を回避することができました。

③職人技、個人のノウハウの「見える化」

あるパン屋さんでは、熟練の職人さんしか、人気の味を再現できずに困っていました。

そこで、その職人さんを観察したところ、パンをこねる水の温度を、外気温に合わせて変えていることが判明。

職人さんは、その調節を長年の勘で行っていたのですが、お店は機械を使って水温を調節することに。結果、誰もが同じ味を再現できるようになり、人気の味を安定して提供できるようになりました。

オフィスで働く私がグッときた資源生産性向上のポイント

「資源生産性」なんていうと、製造業の話かな?という気がするし、実際上記は、いずれも物づくりの現場の事例です。

しかし、これらの事例は、オフィスでも応用できそうだと思いました。

例えば①は、ある程度まとまった量を買う必要があるのに、あまり使わない事務用品などに応用できないか?と。部署間で情報共有すれば、箱買いしたインデックスシールの残りや、使い古しのダブルクリップの山が、各部署のキャビネットにいつまでも鎮座しているなんて不合理は回避できそうです。

また、②は、何であれ書類を扱っている職場なら「あるある」ではないかと。「この様式の書類は以前にも作ったはずだけど、見つからない。一から作った方が早いな!」と思ったことがある人は要注意かもしれません。

ちなみに、②の事例では、改善を図る前は、1000種類の部品に対し4万枚の図面があったとか。さらには、1000種類の部品というのも、突き詰めると5種類のテンプレートに集約できたそうで。怖ろしい話です。

結局、業務改善てこと?

ということで、きょうは6月28日に参加した「利益を生みだす環境ビジネス講座」第1回目「サステナブル社会を目指して」の、「資源生産性」の話から、特に興味深かったエピソードを引用させてもらいました。

記事を書いていて、ふと思ったことは、講義で紹介された事例は、通常は「業務改善」「合理化」と呼ばれているような話じゃないか?ということです。それが「資源生産性」というキーワードを用い「サステナブル社会」という文脈で語られると、こんなに新しく響くのですねえ。

いや、これは何も揶揄しているわけではありません。人を動かすには、時には言葉を変えることが効果的なのかなあと思った次第です。

今回の講義のもう一つの主題であった国連の「SDGs(持続可能な目標)」なんかも、結局、そういう話かもしれません。「貧困・飢餓をなくそう」「全ての人に教育を」なんてキャッチフレーズには、「あーはいはい」って言っちゃう人も、「エスディージ~ズ」って言われると、思わず注目してしまうとかね。

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