今日は、カラーコーディネーター検定と色彩検定の違い1級編。6月に実施されたカラーコーディネーター検定、あるいは色彩検定で2級合格を勝ち取った方の中には、さらに上級の資格を取ろうと、お考えの方もいると思います。上級の資格には、カラーコーディネーター検定1級と、色彩検定1級がありますが、さて、どちらを受けるべきでしょうか?
両方を受験した私の感想は、それぞれ一長一短あるというもの。そこで、本日は、「カラーコーディネーター検定と色彩検定の違いを徹底比較(1級編)」と題して、カラコ1級と色彩検定1級の違いを語ってみたいと思います(2級編はこちらをご覧ください)。
違いその1:色彩検定1級は一つだけど、カラーコーディネーター検定1級は、3分野からの選択制
色彩検定1級は一つだけ。こちらの公式テキストをベースに出題される試験です。
それに対して、カラーコーディネーター検定1級は、「ファッション色彩」「商品色彩」「環境色彩」の3分野から、いずれか一つを選択して受験するシステムとなっています。
ファッション色彩公式テキスト
環境色彩公式テキスト
「ファッション色彩」では服飾やメイク、「商品色彩」ではプロダクトやインテリアやパッケージ、「環境色彩」では建築や景観の色彩の知識が問われます。私は「商品色彩」を選びました。
色彩検定1級は、ファッションを中心に、上記の分野すべてを浅くなぞる感じですが、カラコ1級では、それぞれの専門分野を深く勉強することになります。
例えば、色彩検定1級テキストでは、20行程度で終わっている硬質樹脂(プラスチック)の説明が、カラコ1級「商品色彩」テキストでは、10ページ以上にわたっていたりとか。暗記の負担は、カラコ1級の方がかなり大きいです。
違いその2:色彩検定1級には実技問題が、カラーコーディネーター1級には論文問題がある
色彩検定1級には、カラーカードを切り貼りする実技問題があります。与えられた条件から配色を考え、カードを切って糊で所定の欄に貼るという問題がメイン。
センスは必要なく、配色技法や、JIS慣用色名、色相・トーン別明度などを、事前に暗記しておくことで対処が可能です。
ただ、色のわずかな違いを自分の目で判断する「視感測色」の大問が一つあり、そこは暗記で補うのは難しいかと。
他方、カラコ1級には、論述問題があります。3分野共通の200字問題と、各分野固有の500字の問題の2問。
500字の方は、1級テキストの内容を踏まえつつ、具体的な商品カラー展開の提案をするというようなもので、普段から文章を書いている人であれば、それほど難易度は高くないと思われます。
意外と曲者なのが、200字の共通問題ですね。問われるのは、「虹の色について」「混色とは」など、色彩学の基礎知識ですが、これが文章で表現しようとするとなかなか難しい。3級公式テキストの知識を、自分なりにまとめておく必要があります。
違いその3:カラーコーディネーター検定1級は一日完結だけど、色彩検定は1次と2次と、二日に分けて行われる
カラーコ―ディネーター検定1級も色彩検定1級も、年に1回、冬季にしか行われないという点で共通していますが、カラコ1級が1日で完結するのに対し、色彩検定1級は、1次、2次と二度にわたって試験会場に赴かねばならないという点が違います。
カラコ1級は、例年は、12月の第一日曜日に、各地の商工会議所で実施されます。マークシートと論述の問題は、同時に配布され、制限時間は合わせて2時間30分。マークシートにかける時間を少なくするほど、論述問題に時間を割くことが可能となります。
他方、色彩検定1級は、11月の1次試験でマークシート問題の試験を受け、約1ヵ月後、12月の2次試験で前述の実技試験を受けます。それぞれ制限時間は90分です。
まとめ
以上、カラーコーディネーター1級と、色彩検定1級の大きな違いを三つ挙げてみました。最後に、それぞれ「こんな人が向いている」として、まとめておきます。
<カラーコーディネーター検定1級が向いている人>
- 難易度が高いイメージがある資格を取ってハクを付けたい
- 自分の専門分野の色彩を、素材や歴史、背景まで含めて知りたい
- 暗記が苦にならない
- 色の識別はちょっと苦手だけど色彩の資格が欲しい
- 自分の考えや知識を文章で表現できるようになりたい
<色彩検定1級が向いている人>
- 色に関連する幅広い分野の知識を手に入れたい
- イメージに合った配色ができるようになりたい
- 微妙な色の違いを見分けられるようになりたい
- 調和する配色をささっと考えられるようになりたい
- 専門分野が特に決まっていない
ちなみにですが、私はパソコンでイラストやロゴを作成する際に、イメージにあった、センスがいい配色ができるようになりたいと思い、色彩の勉強を始めたのですが、カラコ1級では、その目的はかないませんでした。で、その1年後に色彩検定1級を受けて「あっ、こっちだったわ」と。
両検定1級独学合格というハクがついたのと、こうしてブログで、両方やった人間にしか分からない比較情報が提供できるというメリットは得られましたが、それがカラコ1級にかけた労力に見合ったものであるかどうかは微妙、というのが正直なところです。