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美魔女ブームの仕掛人が事例で教えるマーケティング成功の3大プロセスとは?

「欲望」のマーケティング 一般教養
この記事は約4分で読めます。

『「欲望」のマーケティング』(著・山本由樹)を読みましたので、今日はその感想レビューを。

著者の山本由樹(やまもと ゆき)さんは、2012年まで光文社のアラフォー向け女性雑誌『STORY』『美ST(ビスト)』の編集長をつとめ、あの社会現象とも言える「美魔女」ブームの仕掛け人となった人です。

「美魔女」という言葉は、ネットでもマスコミでもさんざん話題になり、私の勤め先でも使われているのを聞いたこともあるという文句なしの流行語。そんなブームを生んだ人が書いたマーケティング論なら、読む価値があるだろうと思い、本書を手に取ったのでした。

感想は、まあ読んでよかったかなという印象。「言語化されない欲望」を掘り起こし、ターゲットを「絞り込む」「巻き込む」「揺るがす」というマーケティングのプロセスが、美魔女の成功を例に、わかりやすく語られています。

印象に残ったポイントをまとめますと、こんなところでしょうか。

①ターゲットを「絞り込む」には暴投ぐらいがちょうどいい
例)『STORY』で「40歳になってよかった! 今の私がいちばんキレイ!」という大胆な特集を組んだところ、あっという間に完売した

②無視できない存在になる
例)「美魔女」は、本来のターゲットから遠い人々からネットで叩かれることで社会現象化した

③手に届く範囲の理想と遠ざかりたい現実を示す
例)「理想」は読者モデル。「現実」は本人に突き付けてはいけない。お腹の出たおばさんの画像など、「ああはなりたくない」という具体例を示す

ときに下世話で、軽妙な筆致が何ともいい感じで、こんな人が編集長をつとめていた時代の『STORY』『美ST』は、さぞかし面白かったんじゃないかなあと、ノーチェックであったことをちょっと後悔したぐらい。

「あとがき」を読むと、山本さんが2012年に光文社を退社し、giftという新会社を立ち上げ、「40代独身女性」向けの新たな雑誌を発行するとあるではあったので、わくわくしつつ「株式会社gift」で検索してみました。

が、ここで一気に落胆。その新雑誌が『DRESS』であることが判明したからです。

40代独身女性をターゲットに置き、「女性のための幸せな社会変革」という壮大な目標を掲げて2013年4月に創刊された『DRESS』。

「30代までは練習です。40歳からが女の本番!」というキャッチフレーズが話題を集め、「痛いw」「サムいww」「バブルの遺産」などとさんざんネットで叩かれていたのを思い出しましたが、その後すっかり忘れられた感が。

ちなみに創刊当時は、まとめ記事まで上がりました。
 ↓  ↓  ↓
新雑誌『DRESS(ドレス)』がイタすぎると大炎上の予感!?

色々検索してみましたが、2014年8月現在も熱心にウォッチしているのは、「サイゾーウーマン」の女性誌カテゴリのライターさんぐらいのもんじゃないでしょうか。私も何度かパラパラ読んだことはあるのですが、90年前後のトレンディドラマの再放送を見ているような印象だなあとしか。

うーん、これ、思い切って暴投してみたけど、ターゲットがいなかったので、絞りようも巻き込みようも揺るがしようもなかったってことじゃないんでしょうか!?

そして、そもそも「言語化されない欲望」はどうしたんだ、と。。

編集長が、周囲のアラフォー独身キャリア女性に「君たちのための雑誌はある?」と聞いてみたところ、「ない。あったらほしい」というような答えが返ってきたらしいのですが、それが欲望だとしたらかなり弱いなあと。

ちなみに『STORY』『美ST』の場合の「欲望」は、つまるところは「セックスレス解消」であったようです。切実さが違いますね。

さて、『DRESS』はその後、既婚女性も視野に入れたり、「妊活」を標榜してみたり、かなり迷走している模様。しかしまあ、そのうち「美魔女」級のキラーコンテンツが誕生しないとも限りませんので、ほんのり期待しつつ、見守りたいと思います。

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