ほぼ日書評チャレンジ中

このページにはプロモーションが含まれています。

【無謬性のドグマ】産経新聞が共産党100年史を叩くポイント2点をざっくり解説

無謬性のドグマ 時事
この記事は約4分で読めます。

産経新聞の8月13日の社説のお題が共産党の100年史でした。タイトルは「共産党100年史 無謬性のドグマは放棄を」です。

気になるのは、なんでこのタイミングで?ということ。共産党が党史を発行したのは7月25日なんですよね。

あと恥ずかしながら「無謬性のドグマ」の意味が分からなかったので、調べがてら感想を書いていくことにします!

社説のはじめの二段落を引用させていただきます。

共産党が党史「日本共産党の百年」を発表した。志位和夫委員長は発表に際し「平和、民主主義、人権、暮らしなどさまざまな面で国民の苦難を軽減し、日本の社会進歩に貢献し、世界史の本流に立って促進した」と自賛した。

だが、共産の歩みは胸を張れるものだろうか。今回の党史も、党にとって都合の悪い過去を「裏切り者」の行為として責任を回避した。無謬(むびゅう)性にこだわる内容と言わざるを得ない。

出典:【主張】共産党100年史 無謬性のドグマは放棄を – 産経ニュース(2023/08/23)

まず「無謬(むびゅう)」とは、「誤りがない」「間違っていない」という意味の言葉。

党にとって都合の悪い過去を「裏切り者」の行為として責任を回避した
 ↓
結果的に党はいつも悪くないということになっている

と言って批判したいようですね。

そして「ドグマ」は、あるグループに特有の信念や教義を意味する「dogma」をカタカナ書きにしたもの。「信念」「教義」という言葉に「凝り固まった」「排他的な」「カルト的な」などの意味を付け加えたいときに使われるようですね。

ということで、言葉の意味と本文の内容をふまえますと、タイトル「無謬性のドグマは放棄を」の部分は、

「都合の悪い過去を切り捨てて自分たちは間違ってないってことになってますが、そういった独自ルールは捨てたらどうか?」

と意訳することができそうです。

わざわざ難しい言葉をタイトルに持ってきたのは、「共産党ってこんなにややこしい政党なんですよ」とアピールする狙いがあるのかもしれません。

その他、この社説の主張は、下記の二点に絞られるかと思います。

  • 党の方針に異を唱えた党員を相次いで除名した共産党が、自由と民主主義を掲げても説得力がない
  • 共産党が政権を取れないのは「支配勢力」とやらの攻撃のせいではない。国民の支持を得られていないだけだ

異を唱えた党員とは、松竹伸幸さんのことです。

松竹氏は、かれこれ50年も共産党員として活動してきた人ですが、2023年の1月出版の著書「シン・日本共産党宣言」で党首公選や安保・防衛政策の転換などを訴え、除名処分となりました。彼が訴えた内容と訴え方は、党の規約違反になるそうです。

松竹伸幸氏の除名処分について/2月6日 日本共産党京都南地区委員会常任委員会 京都府委員会常任委員会

そういえばその後、松竹氏はどうしているかと思い、調べてみましたら8月10日に新刊が出たばかりなのでした。今回の産経新聞の社説は、この出版のタイミングにあわせたものかもしれません。

共産党除名の元党員・松竹伸幸氏が書籍発表 10日発刊 | 毎日新聞
 「党首公選制」導入を訴え共産党を除名された元党員でジャーナリストの松竹伸幸氏は9日、東京都内で記者会見し、著書「不破哲三氏への手紙 日本共産党をあなたが夢見た21世紀型に」(宝島社新書、990円)を10日に発刊すると発表した。

いや、第二の自民党を自称する野党が現れたと思ったら、自民党のアクセルになりたい野党まで現れて、憲法改正待ったなしという状況なので、共産党にはがんばってもらいたいのですが、いろいろと逆風っぽいですね。

しかし当の共産党は、このタイミングで党史を出して「我が党の真実の姿」を知ってほしいと言っている。何かがずれてるというか、国民の関心はそこじゃない感があるというか。

ツイッター(現X)で委員長の志位さんや若手の山添拓さんのポストなんかを見ると応援したくなるのですが、どうも党そのものの話になると、誰が指導者のときの綱領が何とかとか、急に面倒くさい感じになるのが難儀だなあというのが正直なところです。

タイトルとURLをコピーしました