燃料費調整額の今後はどうなる?計算方法をわかりやすく解説

燃料費調整額の計算方法 電力はいま
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先日の記事「2021年の「電気料金の値上げ」の正体は?燃料費調整額のわかりやすい説明」では、最近の電気の値上がりの正体は「燃料費調整額」だ!というお話をしました。ざっくり言いますと、発電に使う燃料の価格が上がり分が、私たちが支払う電気料金に上乗せされているという話です。

この上乗せ分の値段が、燃料費調整額というものです。各電力会社は毎月、原油、液化天然ガス、石炭の輸入価格をもとに2か月先の燃料費調整額を計算し、ホームページで公表しています。

各電力会社のホームページを見ると、だいたい価格そのものだけでなく「燃料がいくらであれがこうなので、これこれこういう計算でこうなりました」という計算方法が書かれています。なので、それを見れば「ぼったくられているわけではなさそうだな」と納得できます。

しかし、この燃料費調整額、計算方法が実にややこしい。燃料価格が毎月変わる、各電力会社によって計算に使われている数字が違う、計算式に使われている用語が難しいなど、理解しにくいポイントが盛りだくさんです。

そこでこのページでは、燃料費調整額の計算方法をできるだけやさしく説明してみることにします。途中、どうしても小難しい感じになってしまったところもありますが、そこを乗り越えると、上司や同僚やご家族になぜ電気代が上がっているのかをすっきりと説明することができます。しばしお付き合いください。

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燃料費調整単価の計算方法① 「平均燃料価格」とは?

燃料費調整額を計算するために必要なのは、「燃料費調整単価」を計算することです。まずは計算式をご覧いただきましょう。こんな感じです。

燃料費調整単価=(平均燃料価格-基準燃料価格)×基準単価÷1000

似たような用語が並んでいたり(  )でくくられていたり1000で割ってみたりで、実にめんどくさいですが、ここはひとつがんばって用語の意味を見ていきましょう。

まず「平均燃料価格」とは、直近3か月の燃料価格の平均です。各電力会社が、原油、LNG、石炭の輸入価格を使って計算しています。それぞれの価格は、財務省が「貿易統計価格」として公開しているものです。

化石燃料のアイコン

ここで、「貿易統計価格」について深入りする必要はありません。どの電力会社も共通で使っている、ということだけ押さえておいてください。

また、各電力会社の平均燃料価格の計算方法も気にしなくてもOKです。ホームページの「燃料費調整額のお知らせ」のページには、「平均燃料価格」が必ず載っていますので、それをそのまま燃料費調整単価の計算に使いましょう。

「いや、私は平均燃料価格の計算方法も知りたいんだ!」という方のために付け加えておきますと、原油、LNG(液化天然ガス)、石炭それぞれの3か月平均価格に、とある係数をかけて足し算をしたものが「平均燃料価格」となります。

それぞれの燃料の3か月平均価格は、「燃料費調整額のお知らせ」に書かれています。

A: 3か月における1klあたりの平均原油価格 50,678円/kl
B: 3か月における1tあたりの平均LNG価格 58,003円/t
C: 3か月における1tあたりの平均石炭価格 15,185円/t
(2021年7月~2021年9月平均の貿易統計価格)

この価格に、係数「α」「β」「γ」を掛けて足し算をしたものが「平均燃料価格」です。

平均燃料価格=A×係数α+B×係数β+C×係数γ

平均燃料価格の計算

係数「α」「β」「γ」は、原油、LNG、石炭の価格をキロリットルあたりの価格に計算しなおすための数字です。数字の根拠はちょっと分かりませんが、電力会社ごとに決まっていることは確かです。この「α」「β」「γ」がそれぞれ異なるので、平均燃料価格は電力会社によって違うことになります。

燃料費調整単価の計算方法① 「基準燃料価格」「基準単価」とは?

続いて「基準燃料価格」と「基準単価」です。これらも電力会社ごとに定められています。各電力会社の基準燃料価格と基準単価を表にしました。価格は2021年11月現在、低圧電力の場合です。

電力会社 基準燃料価格(円/kl) 基準単価
(円/kWh・1000円あたり)
北海道 37200 0.197
東北 31400 0.221
東京 44200 0.232
北陸 21900 0.161
中部 45900 0.233
関西 27100 0.165
四国 26000 0.196
中国 26000 0.245
九州 27400 0.136
沖縄 25100 0.316

基準燃料価格」は、ざっくり言うと電気料金に含まれている燃料の価格。各電力会社が、「基本的にこのぐらいの燃料費はかかるよね」というところをあらかじめ設定しているものです。

一方「基準単価」は、平均燃料価格が1,000円変動した場合の電気料金単価への影響額です。基準燃料価格と平均燃料価格の差分に「基準単価÷1000」をかけたものが燃料費調整単価となります。

燃料費調整単価の計算方法③ 2021年12月分の計算例

さて、あらためて先ほどの計算式を見てみましょう。

燃料費調整額=(平均燃料価格-基準燃料価格)×基準単価÷1000

ここでこの計算式に、具体的な数字をあてはめてみることにします。東京電力、関西電力、九州電力の2021年12月の燃料費調整額の計算です(それぞれ低圧電力の場合です)。

東京電力は、基準燃料価格が44,200円と高めに設定されており、平均燃料価格を上回っています。よって、平均燃料価格-基準燃料価格がマイナスとなり、燃料費調整単価はマイナスとなります。「あらかじめ設定してある基準燃料価格だともらいすぎになってしまうので、差額を引いて請求しますね」という状態です。

(39,500-44,200)×0.232/1000=▲1.09円/kWh

この点関西電力の場合、平均燃料価格が基準燃料価格より高いので、「差額を上乗せして請求しますよ」という計算になります。

(31,900-27,100)×0.165/1000=0.79円/kWh

九州電力はこの月、平均燃料価格と基準燃料価格が一致したので、燃料費調整額がゼロになりました。

(27,400-27,400)×0.136/1000=0.00円/kWh

ご参考までに、燃料費調整額がプラスのときとマイナスのときの電気料金のイメージ図です。

燃料費調整のイメージ

燃料費調整額はどこまで高騰するのか

ところで、ここで不安になった人もいるのではないでしょうか。

原油、LNG、石炭の価格が高騰したらどうなるのか?

例えば平均燃料価格が3倍になったと仮定すると、東京電力の燃料費調整単価は約17円/kWh、関西電力の場合は約11円/kWhとなります。1か月に300kWhの電気を使ったとすると、電気料金の請求額が月5000円から3000円増えるという計算です。

燃料費調整額は、適用の2か月前にプレスリリースで告知されますが、そんな短い期間にそれだけの値上げをされたら、家計や会社の予算がついていきませんよね。

しかし、そこのところはご安心を。燃料調整の幅には上限が設けられているようです。2021年10月の資源エネルギー庁の資料「燃料及び電力を取り巻く最近の動向について」に、このように書かれています。

【参考】燃料費調整制度
 小売全面自由化以降も、経過措置規制料金においては燃料費調整制度を維持。
 燃料費調整制度においては、需要家保護のために調整幅に上限を設定(平均燃料単価の上限を基準燃料価格の1.5倍に設定)し、燃料価格の高騰を原因とした電気料金の上昇を抑制する仕組みとなっている。
出典:資源エネルギー庁の資料「燃料及び電力を取り巻く最近の動向について」2021年10月26日)

資源エネルギー庁の燃料費調整額についての資料(2021年11月)

どうやら平均燃料価格がどれだけ上がっても、燃料費調整額に適用されるのは燃料基準価格の1.5倍までのようです。この計算だと、最も高い電力会社でも燃料費調整単価は5.36円/kWhまでの値上がりで止まります。

燃料費調整額の上限(2021年11月現在)

電力会社 東京 関西 北海道 東北 北陸 中部 四国 中国 九州 沖縄
基準燃料価格(円/kl) 44,200 27,100 37,200 31,400 21,900 45,900 26,000 26,000 27,400 25,100
適用される平均燃料価格の上限(円/kl) 66,300 40,700 55,800 47,100 32,900 68,900 39,000 39,000 41,100 37,700
燃料費調整単価上限(円/kWh) 5.13 2.24 3.66 3.47 1.77 5.36 2.55 3.19 1.86 3.98

ただ、この上限はすべての契約プランに適用されるものではないようです。例えば関西電力のホームページの燃料費調整額についてのページには、「2016年4月1日以降、新たに電気供給条件(低圧)および料金表によりご契約を開始したお客さまについては、燃料費調整における上限値の設定はいたしません」などという但し書きがあったりするので、注意が必要でしょう。

燃料費調整制度|関西電力

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