炭素税はいくら?日本の現状とデメリットをわかりやすく解説

炭素税 エネルギー
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2050年の「脱炭素社会」の実現に向けて!という掛け声が何かと聞かれる中、「日本でもいよいよ炭素税の導入か?」と反応してしまうニュースが報じられました。2050年の「脱炭素社会」の実現に向け、環境省が「地球温暖化対策税」の見直しを検討しているというNHKの記事です。

記事の内容をざっくり要約すると、こうです。

  • 環境省の有識者委員会は、これまで「カーボンプライシング」について議論してきた
  • 2021年12月22日の集まりでは、今後の検討の方向性がまとめられた
  • 検討中の事項には「炭素税」「排出量取引」「地球温暖化対策税」などがある

どうやら、今回の委員会においては「検討を進める」ことが決まったにすぎず、ただちに新たな税が導入されるとか、すでにある税の税率が上がる、なんてことは起こらないようですね。

しかし、何しろ「脱炭素」が合言葉のようになっているご時世です。ある日突然「20xx年の炭素税はいくら」なんてニュースを聞くことになるかもしれません。この記事では、そうなったときに「寝耳に水!」なんてことにならないよう、皆さんが今後「炭素税」についての情報を追っかけるためのお手伝いをしたいと思います。

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炭素税とは何か?

まず、炭素税の前に、そもそも「カーボンプライシング」とは何かについてご説明します。

カーボンプライシング」とは、排出される二酸化炭素に価格づけをすることです。「二酸化炭素の排出にお金がかかるなら、がんばって排出量を減らそう」と人や企業に思わせる効果があるとされています。「脱炭素のための経済的手法」などという説明がされることもあります。

カーボンプライシングの代表的な手法のひとつが「炭素税です。二酸化炭素の排出に課される税金のことです。環境省の「炭素税について」という資料では、次のように説明されています。

燃料・電気の利用(=CO2の排出)に対して、その量に比例した課税を行うことで、炭素に価格を付ける仕組み
炭素税について 210301資料2(セット版)|環境省

炭素税の導入は、日本では1990年代の環境庁の時代からが検討されてきましたが、まだそのものズバリの「炭素税」は実現していません。今のところ導入されている炭素税っぽいものは「地球温暖化対策税」です。

地球温暖化対策税」は、正式には「地球温暖化対策のための税」といいます。原油やガス、石炭といった全化石燃料に対して、CO2排出量に応じた税率を課すもので、2012年に導入されました。当時から、我が国には石油、ガス、石炭に課税する「石油石炭税」というものがありましたが、それに上乗せする形で課税されています。

石油石炭税のうち、地球温暖化対策税の部分の税率はCO2排出量1トンあたり289円です。使い道は、地球温暖化対策の強化や、エネルギー起源CO2排出抑制のための施策などです。

諸外国では炭素税っていくらぐらいなの?

この地球温暖化対策税を見直し、または炭素税の導入をしようという議論を後押ししているのは、「日本は世界的に見てエネルギーに対する税金が安いんじゃないか」という思いのようです。

上で紹介した資料「炭素税について 210301資料2(セット版)」の15ページには、「主な炭素税導入国の炭素税率」というグラフが載っています。

主な炭素税導入国の炭素税率(環境省の資料より)
画像の出典:炭素税について 210301資料2(セット版)|環境省より

グラフからは、スウェーデン、スイスなどヨーロッパ諸国では、炭素税率が2000年代以降大幅に引き上げられていることが分かります。スウェーデンなんかは、炭素税率がCO2排出量1トンあたり14,000円超なんですね。

また同じグラフからは、フランス、カナダ、アイルランドも、2030年には現在のスウェーデン並みに税率が上がる予定であることが分かります。それに比べると、289円/tCO2で描かれた日本のグラフは地を這うよう。「脱炭素のためには、わが国ももうちょっと課税しないとダメだ!」となる人がいてもおかしくない感じです。

ただ、グラフの外に小さい「仮に、温対税に加え、他のエネルギー税率を加味した場合、約4,000円/tCO2(各種税制の加重平均)」と書かれているのは見逃してはいけないところかと。

加えて、日本は電気代の高さが世界トップクラスなので、高い炭素税が導入されたときの経済へのダメージが他所と違うんでないの?という気もします。もし、このグラフだけをもってして「ほらほら、日本はこんなに脱炭素への意識が低いんですよ!炭素税を本格的に導入しなければ」なんて言う人がいたら、疑ってかかった方がいいかもしれません。

炭素税のメリットとデメリット

環境省の資料「炭素税について 210301資料2(セット版)」の5ページには、「利点として考えられるもの」「課題として考えられるもの」として、炭素税のメリットとデメリットが書かれています。原文は用語がいちいち難解なので、思い切った意訳をしてみました。

◆炭素税の利点として考えられるもの(メリット)

  • 課税により、企業から家庭まであらゆるプレイヤーに「脱炭素待ったなし」というメッセージを発することができる
  • 「税金がかかるんじゃしょうがないね」ということで、企業などが脱炭素化に取り組む動機になる。投資家はそんな企業の動向を予測しやすくなる
  • 税収を活用した投資・イノベーションや技術の普及などの後押しが可能

◆課題として考えられるもの(デメリット)

  • 課税によるCO2の削減量がどれだけになるか、よく分からない
  • 税負担により、民間企業から投資、イノベーションのための資金が奪われる
  • エネルギーコストが上がって我が国の産業の国際競争力に悪い影響を与える
  • 国民が理解してくれるかどうかが問題だ
  • 今後、環境省では、デメリットのところをどう手当てして具体的な制度を組み立てていくかが話し合われるようです。さて、日本でも炭素税は導入されるのか?されるとしていくらになるのか?「2050年カーボンニュートラル」の掛け声に踊らされることなく、炭素税の対象や課税率、使い道などがどうなるかをしっかりウォッチしていきたいところです。

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