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映画『武士の家計簿』の感想(ネタバレあり)

武士の家計簿 一般教養
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今日は、お正月に観た映画「武士の家計簿」の感想を。

「武士の家計簿」は、加賀藩の「御算用者(会計担当の役人)」を代々務めてきた猪山家の人々の暮らしを、堺雅人さん演ずる八代目当主・直之を中心に描いたものです。

原作は、歴史学者・磯田道史さんの著書『武士の家計簿 「加賀藩御算用者」の幕末維新』で、これは、実際の猪山家の約37年間の入払帳や書簡をもとに書かれたノンフィクションなんだとか。

なんだかこんな風に説明すると、無味乾燥で淡々とした映画みたいですね。でも、全くそんなことはなく。観ている最中も観終わった後も、豊かさとは? 家とは? 親子とは? などなどを考えさせらる、かなり心が揺さぶられた作品でした。

私は、語り部である直之の息子・直吉に感情移入して、この映画を観ました。私自身、祖父母の代がややお金にルーズだったこととか(借金はなかったと思うが)、子供の頃、父に算数を厳しく仕込まれたことがあるあたりが共通しているからです。

ただ、猪山家と決定的に違うのは、私の飲みこみが悪かったことと、父に教えるスキルと根性がなかったことなんですが。うちの父も、もうちょっとそこのところを認識してくれていたら、私の人生変わっていたかもなあと。

もっとも、直之のような超スパルタの親父だったら、それはそれで困ったと思いますけどね。

そうそう、この「武士の家計簿」という映画、「刀でなく、そろばんで、家族を守った侍がいた」というキャッチコピーに象徴されるような、あったかい話ではないと思います。

直之という人が、ご近所にヒソヒソされながらも、無駄な家財を売り払い、倹約を徹底し、星一徹ばりの厳しさで息子に算用を仕込んだ際には、「家族を守る」という意識はなく、「数字が合わないと気持ちが悪い」という自らの美意識に突き動かされていただけではないのかと。

少なくとも堺さんの演技からは、狂気のようなものは感じましたが、家族のために心を鬼にして、という心情は読み取れませんでした。

堺雅人さん、この映画で初めてじっくり見ましたが、あの三日月型に細められた目が怖くていいですね。立て続けに「日輪の遺産」も観ましたが、やっぱりよかった。「半沢」や「南極料理人」も観てみようと思います。

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