6月に実施された令和 3(2021)年度第 1 回日本語検定の合格率と受験者数が公開されました。このページでは、私も受験した1級について、過去の試験回との比較から難易度などを分析してみたいと思います。
日本語検定1級の合格率は?
日本語検定公式サイトの「検定データ」のページはこちら。1級から7級までの全級につき、2010年度からの受験者数、合格率、受験者の属性別(学生、社会人など)のデータを見ることができます。
上記に掲載されているPDFによりますと、2021年度第1回の日本語検定1級の合格率は9.5%でした。
2010年度から昨年度までの合格率の平均は11.8%です。そのくらいの合格率の回を難易度「ふつう」とすると、2021年度第1回の1級は、通常より少し難しめということになります。また、前回(2020年度第2回)の合格率は22.3%でしたので、それと比較すると、難化したということもできそうです。
ただ、日本語検定1級は合格率の変動が大きいので、平均値に意味があるかどうかは疑問ではあるのですが……。
下記は、私が公式サイトの上記のページで公開されているデータをもとに作成したグラフです。折れ線グラフが合格率。縦軸は左側をご覧ください。25%近い回もあれば、2%を切る回もあります。極端です。
データが公開されている2010年以降で合格率が最も低いのは、2015年度(平成27年度)第1回検定試験で、1.6%。次点が同じく20年度の第2回の1.9%です。
2015年は、受験者数が最多ということもあり本気度の低い人が合格率を下げていたという可能性、また、問題の傾向が大きく変わったという可能性もありますが、合格者数に引き直して16人というのは、やはり異様。
その他の年度は少ない年でも40人以上の合格者が出ていることを考えると、やはり、2015年度は最も難度が高かったと見るべきかもしれません。
そんな2015年度(平成27年度)の問題にチャレンジしてみたいという方は、公式問題集の平成28年度版を。同年の第1回と第2回の問題が収録されています。
2021年度第2回(11月以降)の難易度予想と対策
さて、一方で次回の予想ですが、これはどうなりますか。
ここ数年は、合格率が急落した後は反発して、また上昇というパターンが続いています。そのパターンが繰り返されるとすると、前回22.3%から急落した今回9.5%の後は、また上がりそうです。合格率と難易度が連動すると考えると、次回は今回より易しくなるかもしれません。
ただ、2020年度第2回の22.3%というのは、異例の合格率の高さでした。データが公開されている2010年以降、最も合格率が高かったのは2013年度第2回の24.5%ですが、それに次ぐ高さなのです。
そして、24%超の合格率を記録した2013年度第2回の次の回からは、3回連続で合格率が下がり続け、前述の最低合格率(2015年度第1回の1.6%)に至っています。
このパターンを踏襲する可能性もあると考えると、次回、2021年度第2回(11月実施予定)は、合格率9.5%の今回よりも難しくなることもありそうです。
なお、今回の合格率9.5%を大きく下回るのは、2019年度第2回(7.2%)と、2018年度第1回(4.9%)。
これらの問題を含む公式の過去問集は、「2019年度版」と「令和2年度版」です。現在の最新版が令和3年度版ですので、ひとつ前とその一つ前。この2冊を学習教材に加えることで、難度が高かったであろう回の傾向を知ることができます。
ちなみに、今回1級認定を受けた私は、最新版、令和2年度版、2019年度版、平成30年度版の過去問をベースに学習をしました。
この4年の間に元号が変わり、新元号発表直前に発売された版は西暦表記になっていたりでややこしいのですが、要は過去4年分ということです。
「令和3年度版」⇒令和2年度(2020年度)第2回+過去問セレクション(コロナの影響で第1回が中止されたため)
「令和2年度版」⇒令和元年度(2019年度)実施の2回分
「2019年度版」⇒平成30年度(2018年度)実施の2回分
「平成30年度版」⇒平成29年度(2017年度)実施の2回分
以上、このページでは、日本語検定1級の合格率と難易度、次回以降の対策についてお届けしました。今後、日本語検定の受験をお考えの皆さんのご参考になりましたら幸いです。