賛否両論?ドライブスルー型の葬儀システムは普及するのか
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2015年8月14日号の日経MJ。9面「シニアBiz」欄の小さな記事「葬儀 ドライブスルーに」に目が釘付けに。3行で要約すると、こういうことらしいです。
- 長野県上田市の竹原重建が葬儀ビジネスに参入
- ドライブスルー型の葬儀システムを葬儀会社に販売する
- ドライバーが車から降りずに焼香を済ませられるシステム
それでは以下、記事の内容をもう少し詳しく紹介しつつ、背景や今後の展開の可能性を探ってみましょう。
ドライブスルー型の葬儀システムについて詳しく調べてみた
このドライブスルー型葬儀システムは、「ドライブスルー&アテンドスタイルホール」という名称で、価格は1800万円。
竹原住建が設立したコンサル会社「D&Aコンサルティング」が葬儀会社に提案し、建設を竹原住建が担当するそうです。
どういう仕組みなのかというと、葬祭会場の一部に車が通り抜けできるスペースを確保し、そこでドライバーが車を降りることなく焼香できるようにするとのこと。
日経MJの記事によると
障害者や高齢者など葬儀への参列が困難な人や、仕事などで時間を取りにくい人が参列しやすくする。葬儀の簡素化が進む中で多様な需要を取り込む
という狙いがあるらしいです。
ただこれ、自ら運転している人はともかく、自力歩行も困難な人が、焼香台のある側の窓に寄って、窓越しに焼香するってかなりハードルが高いような…。
あと、焼香の様子は、カメラで撮影され、遺影の横に置かれた画面に映し出されるという話なんですが、おそらく物議をかもすであろうこの参列形態。
通常の会葬者から、
「あら!あの人ドライブスルーで済ませるらしいわよ。せっかくここまで来ているのだから、ちょっと降りるぐらいのことができないのかしらねえ」
とヒソヒソされることが容易に想像できます。その意味でもハードル高そう。
ところで、この竹原重建以外にも、ドライブスルー葬の例があるのかどうか、調べてみたところ、アメリカのミシガンの “Paradise Funeral Chapel” という葬儀場が、ドライブスルー可能である模様。
英国の「Mirror」が、そのことを「bizarre(奇妙な)」と報じている2014年の記事が見つかりました。
Bizarre drive through funeral home opens in the US
(奇妙なドライブスルーの葬儀場がアメリカにオープン)
ここが件の葬儀場
Paradise Funeral Chapel, Service You Can Trust!!!
ここのドライブスルー葬は、車を乗り付けると、その重みをセンサーが感知してカーテンが空き、3分間お棺の中の個人と窓越しにご対面(!)。そしてボタンを押すと、記帳用のノートと、カードや寄付金を入れるボックスが現れるという仕組みだそう。
そういえば、竹原住建のドライブスルー型葬儀システムでは、記帳や香典の受け渡しはどうなるんでしょうか。気になるところであります。
ドライブスルー型葬儀はメシの種
さて、このドライブスルー型葬儀システムは、葬儀場にインストールするタイプですが、ご家庭における葬儀にもおいてもドライブスルーを活用できないものでしょうか。
庭先に、車で立ち寄るスペースを設け、車の参列者が訪れたら、待機していた葬儀社の社員または遺族が窓に駆け寄り、記帳と焼香をしていただくと。車しか交通手段がないんだけど、参列者みんなの駐車場が確保できない、なんて場合に有効じゃないかと思います。
で、そこから更に発展して、車のない人のために、最寄りの鉄道駅に出張焼香所を設けるなんてことがあってもよさそうですね。しまいに「もうネットでバーチャル葬儀でもいいじゃん」て話になりそうですが。
でも、肝心なのは悼む気持ちですからねえ。それがあれば、形は様々でいいと思うんですよ。