フランスのレザーブランド「ロンシャン」の今シーズンのテーマカラーに触発されて、コルヴィジェ、リートフェルト、モンドリアンのお三方の関係をスッキリ整理してみました。
20年ほど前のグランジファッションブームを機に、オサレ路線に転向しようとしたもののあえなく断念した私。
当時のファッションアイコンであったケイト・モスさんが、持ち帰り寿司のボックスをデザインしたと知り、なんとも微妙な気持ちになり、昨日はそれで一記事書いてしまった(イギリス人スーパーモデルのケイト・モスさんがデザインした「寿司ボックス」ってどうよ!?)わけですが、ケイト・モスつながりで、今シーズンのLONGCHAMP(ロンシャン)のテーマカラーを思い出しました。
ロンシャンは、1948年創業のフランスのレザーブランド。ケイト・モスが “Kate Moss for LONGCHAMP” というシリーズを手がけ、ポスターにも度々登場していたことで、あまりファッションに詳しくない私も認知していたのですが、そのロンシャンの、今シーズンのテーマカラーが格好いい。春の色らしからぬ、ベーシックな赤・黄・青なのです。
Photoshoot Longchamp new SS2013 campaign with Coco Rocha
ロンシャンのFacebookページによると、「2013年春夏コレクションは、ル・コルビュジェのアヴァンギャルドな建築にみられる、ベーシックで大胆な配色にインスパイアされました」とのこと。
あれ、コルビュジェにそんな色使いあったっけ(汗)と思いつつ調べてみましたら、マルセイユのユニテ・ダビタシオン(集合住宅)などがそうでした。
La Cité Radieuse, Marseille France – Le Corbusier 1952
ただ、赤・黄・青といえば、私の場合、モンドリアンの抽象画や、
リートフェルトの椅子をまっ先に思い出すんですよね。
そして、コルヴィジェ、リートフェルト、モンドリアンは確か同じ時期に活動していたはず…そこで今日は、この三者の関係を整理してみることにしました。
まず、モンドリアンとリートフェルトは、1917年に始まったオランダの芸術運動「デ・スティル」の関係者です。
デ・スティルとは、直線と直角、三原色(赤、青、黄)と無彩色のみを用い、普遍的、絶対的な調和を客観的に描写することを目指す造形運動と定義されます。
モンドリアンは、リーダーのドースブルフと対立し、1925年にグループを脱退しますが(のちにバウハウスで教鞭をとる)、リートフェルトは、上記の「赤と青のいす」や「シュレーダー邸」などで注目を集め、同運動の中心人物として語られることになります。
他方、サヴォア邸などの代表作があるフランスの建築家コルビュジェは、当時の芸術運動やグループからは独立した別格の存在として扱われますが、1930年の「アルジェの住宅」などには、デ・スティルの影響が見えるとの指摘が。
デ・スティルのリーダーのドースブルフは常にコルビュジェを意識していたそうですし、密接なつながりはなかったと言え、互いに影響を与え合っていたという理解でいいのではないかと思います。