琳派400年記念!狩野派との違いと代表的な絵師は?
来年、2015年は、日本が誇る歴史的芸術ムーブメント「琳派(りんぱ)」の400年記念の年です。
と聞いて、「ああ、それはさぞかし盛り上がるだろうねえ」とおっしゃる方も多いと思いますが、「琳派って何だっけ。日本史の授業でやったことあったかな(汗)」という人もいらっしゃるのではないでしょうか。
かく言う私もその一人。最近、グラフィックデザイナーの故・田中一光さん(無印良品の初代アートディレクター)のエッセイ「琳派のデザイン」を読んで、何だったっけなあ、と調べ始めたばかりです。
そこで、今日は「今さら人に聞けない 琳派の基礎知識まとめ」というコンセプトで、琳派の意味や特徴を3分ぐらいでサクッと読める形式にまとめました。
参考にしたのは、こちらの書籍『すぐわかる琳派の美術』です。
そもそも「琳派」とは何か?
桃山時代後期から江戸幕府草創期に活躍した俵屋宗達(たわらや そうたつ)、本阿弥光悦(ほんあみ こうえつ)らが創始
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その少し後の尾形光琳(おがた こうりん)・乾山(けんざん)兄弟により発展。ちなみに「琳派」の名称は、光琳の名に由来
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江戸後期の酒井抱一(さかい ほういつ)、鈴木其一(すずき きいつ)らが再発見
というルーツを持つ日本の画派のひとつです。400周年というのは、光悦が家康から鷹峰の土地を拝領した元和元年(1615年)を起算点としているそうです。
琳派の主な作品は?
歴史の教科書的には、
宗達の「風神雷神図屏風」
光琳の「燕子花図屏風」
光悦の「船橋蒔絵硯箱」などが有名ですが、西洋の印象派や、アールヌーヴォーに影響を与え、現代のデザイナーからも評価が高いという琳派の魅力は、それだけでは語れません。
例えば、尾形光琳の「紅白梅図屏風」。
酒井抱一の「十二か月花鳥図」。
写実的なんですが、どこかデフォルメされたタッチで描かれた植物や動物に、ついつい見入ってしまいます。
ピンタレストに、琳派ボードを作って、お気に入りの作品を集めてみました。
特に、宗達のモダンな象の絵は必見。400年前にこんな作品が描かれていたとは、驚きです。
混同されがちな狩野派との違いは?
(狩野永徳筆 唐獅子図)
・ルーツが違う
狩野派が、室町幕府の御用絵師からスタートし、信長、豊臣、徳川将軍ら時の権力者に仕えてきたのに対し、琳派は京都の上層の町人に支持されるところから始まりました。
・伝わり方が違う
狩野派が、徒弟制で伝統的な画法を代々伝えてきたのに対し、琳派は、後世の芸術家の個人的な傾倒により、断続的に伝わってきました。光琳・乾山の時代と、抱一・其一の時代には、じつに100年以上の隔たりがあります。
・作風が違う
山野の景色全体を描き切ろうとする狩野派に対し、琳派には、対象物を単体で描いたり、風景をトリミングしたり、一部を文様化したりという手法が。結果、琳派の方が、見る人にモダンで軽やかな印象を与えます。
いや、ほんとにモダンで洗練されていて、時にかわいらしくさえあり。なぜ今までこんな楽しい世界を知らなかったのだろうと悔やまれます。
ほんと、思い立って調べてみてよかった。完全に狩野派と混同していて、「なんか豪華な金屏風とかそんなんでしょ?」ぐらいの認識で片づけてしまうところでした。危ない危ない(汗)