『スタートアップ! シリコンバレー流成功する自己実現の秘訣』(著:リード・ホフマン/ベン・カスノーカ)を読みました
『スタートアップ! シリコンバレー流成功する自己実現の秘訣』(著:リード・ホフマン/ベン・カスノーカ 序文: 伊藤穣一 翻訳:有賀裕子)を読みましたので、今日はその感想を。
著者の一人であるリード・ホフマンさんは、ビジネス向けSNS「LinkedIn(リンクトイン)」の創業者です。象徴システムと認識科学の理学士号を得てスタンフォード大学を卒業後、哲学を学ぶためオックスフォード大学へ進学。
そのまま学問を究める予定でしたが、いわく「大学教官が書く本など50、60人が読むだけ」であり、世界に大きな影響を与えたいという目的を果たすことはできないのではないか?という思いから、ビジネスの道に転向しました。
その後、アップルコンピュータ(現アップル)、Fujitsu(富士通)でキャリアを積み、1997年に「SocialNet」(最初期のSNSのひとつ)で起業。
SocialNetで働きつつ、電子マネー送信サービス「PayPal(ペイパル)」の創設にたずさわり、2000年1月にSocialNetを辞めてPaypalの最高執行責任者に。そして、2002年にSocialNetの同僚らと共にLinkedInを共同開設しました。
また、同氏は、Facebookなど100社以上に出資してきた投資家でもあり、シリコンバレーでは多くの起業家に親しまれている存在だそうです。
そんな経歴の人が書いた本ですので、亭主からこの本を最初に薦められたときは、
「えー、私にはあんまり関係ないんでない?」
と思いました。ホフマンさんは明晰な頭脳を持ち、やっぱりビジネス方面だ!と思ったら、あのアップルに入れちゃう人。そりゃ自然と成功に導かれますよ、と。
しかし読み始めてみると、おや?と思いました。確かにスケールは桁違いですが、自分の生活にも応用できそうなんですよ、これが。
一番収穫だったのが、「勤めてる会社がつぶれたら即食いつめる人生ってやだなあ」と思い、起業関連の媒体に触れ始めた10年ぐらい前に刷りこまれた
- 起業人>勤め人
- 退路は断たなきゃダメ
という考え方が完全に払拭されたこと。
自分がどんな価値を人に提供できるかを常に考え、そして学ぶことによってさらに価値を高めつつ、人との関わりを絶やさないことで、求める地位を得ることも不可能ではなさそうなのです。
「スタートアップ」とは、一般的には「新興企業」とか「起業」を意味する言葉ですが、本書の最後は、「スタートアップとはつまり、あなた自身のことである」と締めくくられています。起業しようとしている人のみならず、よりよく暮らしたいと願うすべての人におすすめ。
ただ、思ったのですが、本書に登場する「永遠のβ(ベータ)版」という言葉、私のような怠惰な人間にはちょっと危険ですね。現状維持を肯定する言い訳にしないように気をつけないと(・w・;;