ジョブズ氏のヨット没収事件で改めて考えるフィリップ・スタルク作品の魅力とは?
アップル社創始者の故スティーブ・ジョブズさんのヨットが没収されたというニュースが報じられました。
そのヨットというのは、ジョブズさんが晩年に発注し、2011年10月の同氏の没後も建造が続けられ、今年、2012年の10月末に完成したものなんだそう。
ちなみに気になる建造費は1億ユーロ。現在の為替相場は1ユーロ=111円なので、日本円に換算すると111億円。個人でこれだけのお金が動かせるということがありうるんですね(汗)
しかも設計を担当したのは、モダンデザインの巨匠と呼ばれるフランス人デザイナー、フィリップ・スタルク氏とか。さすがジョブズさん、「ちょっとヨットでも…」となった場合でもスケールが違います。
フィリップ・スタルクさんは、カラーコーディネーター検定のテキストにも登場しますので、受験をお考えの方は、ぜひ名前を押さえておいてください。
代表作としては、スタイリッシュなレモン絞り器「JUICY SALIFF」や、ポリカーボネート製の透明な椅子「ラ・マリー」、直線で構成されたポリプロピレン製の椅子「TOY」などなど。
(※2015.04.30 Pinterestの埋め込み画像がリンク切れとなっていたため、テキストリンクのみとしました)
日本では、氏が設計を手がけた、アサヒスーパードライホール屋上の雲のような金のオブジェが、「う○○」にしか見えないということのインパクトが強かったりしますが、本来、ジョブズ好みのミニマムでスタイリッシュな作風の方です。
しかし、今回、残念なことに、ジョブズさんの親族とスタルクさんの会社との間で、設計料をめぐってトラブルが持ちあがりました。スタルクさん側が、設計料900万ユーロのうち600万ユーロしかもらってないと主張し、債権取り立て業者を雇ってヨットを差し押さえたのです。
さて、そのヨットというのはどのようなものでしょうか。こちらの動画で動くジョブズ氏のヨットがご覧いただけます。
んー、これってかっこいいんですかねぇ!?
確かにミニマムでスタイリッシュではあります。しかし、ジョブズ×スタルク氏のコラボということで多くの方が期待したであろう「斬新さ」については、それほど感じられないように思うのですがいかがでしょう?何より、ヨットと言うよりビルみたいで、航海中に海が荒れてきたら大丈夫なんだろうかって気がしますし。
まあ、ジョブズさんの親族がこのデザインを気に入っていれば、問題はないのですが…いずれにしても、ジョブズさん側は、設計料の未払い分とされる300万ユーロを支払ってこのヨットを取り戻すのでしょうか。成り行きを見守りたいと思います。