家具の「ジェネリック」とは?「リプロダクト」「コピー品」との違いは何?
「ジェネリック家具」の意味と「リプロダクト」との違いとは?医薬品だけではなく家具にも「ジェネリック」があるという。きっかけは、6月29日付日経MJ「デザイン」面に掲載の、5月に青山にオープンしたデンマーク家具のブランド「フリッツ・ハンセン」の直営店に関する記事。
【29日付 MJから】北欧家具の老舗ブランド、フリッツ・ハンセンが新しい売り方に挑んでいます。東京・青山にアジア初の直営店ができ、銀座や大阪府池田市には雑貨や絵画と組み合わせた新店も。デザイン面(13面)です。 pic.twitter.com/wqEA2CIoPh
— 日経MJ (@nikkeimj) 2016年6月29日
近年、意匠権が切れた名作家具を模倣した安価な製品「ジェネリック家具」が出回っている。ヤコブセンの作品も例外ではないようだ。この時期にフリッツ・ハンセンが日本に直営店を構えたのは「顧客の認知度アップとブランド哲学の理解の促進」が狙いだという。
(6月29日付日経MJ「デザイン」面より引用)
「ヤコブセン」とは、フリッツ・ハンセンの契約デザイナーだった、建築家のアルネ・ヤコブセン氏のこと。代表作には、デザイナー家具の名作として知られる「アントチェア(アリンコチェア)」「セブンチェア」「スワンチェア」「エッグチェア」がある。
これらの模倣品が、「ジェネリック」として出回っているというのだが、以前からあるデザイナー家具の「リプロダクト」「コピー品」と何か違いがあるのだろうか。
ジェネリックとリプロダクトの違い
こちらの「リプロダクト品」の定義によると、ジェネリックとリプロダクトは同じ意味であるようだ。
■リプロダクト品とは
リプロダクト品とは、意匠権の期限が切れた製品を、オリジナルデザインを元に出来るだけ忠実に復刻生産した製品です。
ジェネリック製品と表現されることもあります。
リプロダクトとは – 北欧照明,デザイナーズ家具通販【R&Mインテリアストア】
意匠権が切れるとどうなるかというと、そのデザインは共有財産扱いとなり、同じデザインや似たデザインの製品を作っても、もとの権利者からお金を請求されたり訴えられたりすることがなくなる。
ただし、正規品として売ってしまうと、「コピー品」とか「偽ブランド」として怒られるので、「リプロダクト」「ジェネリック」と明記すると。
「当社がヤコブセンのセブンチェアのデザインで作ったジェネリックのセブンチェアですよ、開発費かかってないんで、お安く提供できますよ!」という事情であるらしい。
まあ、正規メーカーのファンや、販売者にとっては、邪道ってことになるんだろうな。下記は、正規品の取扱い店のページにあった「リプロダクト」「ジェネリック」の定義だが、かなり主観が入っているようだ。
リプロダクト、ジェネリック製品とは : 版権が切れた製品を正規メーカー以外が製作した製品です。特徴は、価格が安い、品質が低い(座り心地や耐用年数などが全く異なります)、修理・アフターサービスがなく、破損した場合は買い替えが必要となります。
SEMPRE.JP SEVEN CHAIR(セブンチェア)
ただ、椅子が一生ものだなんて考えてない人や、「よく見かけるお洒落なあの椅子が欲しかった!」という消費者にとっては、耐用年数やアフターサービスはどうでもいい話であるような気がする。
ジェネリック家具と正規メーカー品の価格の違いは?
ところで、正規メーカーが作った製品と、ジェネリックでは価格にいかほどの違いがあるのだろうか。
例えば、セブンチェア(3107)は、フリッツ・ハンセン公式サイトで見ると、7月1日現在、税込56,160円であるようだ。
他方、「セブンチェア ジェネリック」で検索した結果。1万円前後が相場であるらしい。8,000円台なんてのもある。正規品の価格の約5~6分の1だ。
さて、この価格差を埋めて余りある価値が、正規品にはあるのだろうか。ちなみに、フリッツ・ハンセンのサイトでは、製品のCADデータがダウンロード自由となっており、寸法、材質、仕上げなども公開されている。他所がそれらのデータを使ったところで、決して真似ることはできない製品を提供できるという自信の表れだろう。
ジェネリック派か正規品派か?
私自身はジェネリック派か正規品派かというと、まあ有名なデザインの家具を買うとしたら、正規品かなあと。理由は、正規品厨の人に「ジェネリック乙www」と言われる余地を残すのが癪だからだ。
ただ、今日この記事を書いていて、家具を買うという習慣がそもないことに気が付いた。家にあるもので、かろうじて家具と呼べそうなものは、ローテーブルがいくつか(無印とコーナン)と、無印のカラーボックス2個、それから18年前に心斎橋OPAの雑貨屋で買った980円の折り畳みスツールぐらい。
うーむ、昔は、イームズの正規品のチェアが置かれたカフェで、いつかはこういうインテリアの部屋に住む!などとうっとりしてたこともあったんだが、どうしてこうなった。
これが決定打になった、というイベントはないのだが、
- お金がないからあきらめた
- センスの良い暮らしに憧れていたがそんな自分に冷めた
- 「モノにこだわらない暮らしカッケー」を発症した
- 来客がないので見栄を張る必要がない
これらの複合のような気がする。