COP26をめぐる「英女王、指導者に不満」報道はどこまで本当なのか?

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英国のエリザベス女王が、自国で開催される「COP26」に参加しない人たちのことを不満に思っているとの報道がありました。エリザベス女王が政治的なことについて意見を述べるのは異例のことだそうですが、さて、女王の真意は?この記事では、日英米の関連ニュースを読み説いてみたいと思います。

ざっくり言うと

  • エリザベス女王が、COP26について各国指導者に不満をもらしたと話題に
  • 偶然録音された会話で、女王は「COP26に誰が来るのかいまだに分からない」と言っていた
  • ただ、「彼らは話をするだけで行動しない」「歯がゆい」は誰を指しているのか不明

やわらか解説

まず「COP26」は、今年2021年の10月末から開催される国連の会議です。正式には「国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)」といいますが、まあ、「気候変動についての国連の会議」ぐらいの理解でかまいません。会場は英国のグラスゴー。今回は英国がホスト国なわけです。

そんなCOP26まであと2週間という10月15日、エリザベス女王はCOP26に参加しない人々に不満を持っているようだ、という報道がありました。例えば時事ドットコムによると、女王は世界の指導者たちが「話をするだけで行動しない」ことを気にかけており、そうした状況を「歯がゆく思う」とこぼしたようです。

【ロンドン時事】英国のエリザベス女王(95)は、月末からグラスゴーで開かれる国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)について、世界の指導者たちが「話をするだけで行動しない」ことに懸念を示し、そうした状況を「歯がゆく思う」と不満をこぼした。英各メディアが15日報じた。
(太字筆者)
出典:気候変動への無策「歯がゆい」 英女王、指導者に不満|時事ドットコム

このニュースは最初、英メディアの「Mirror」によって報じられた後、他のメディアでも報じられました。

米国の「TIME」によると、公式なコメントではなく、プライベートな会話が偶然録音されてしまったもののようです。ちなみに会話のお相手は、コーンウォール公爵夫人(日本では「カミラ夫人」として有名な人。女王の息子・チャールズ皇太子の奥さん)だったとのこと。

「TIME」には、女王は「COPのすべてについて聞いてきたけど…誰が来るのかはまだ分からない」と言ったと書かれています。そして、録音には聞き取れないところもあり、また「歯がゆい(irritating)」「話をするだけで行動しない(they talk, but they don’t do)」の部分は、「女王は~とも言っているようだ」と表現されています。

At one point, speaking to her daughter-in-law Camilla, Duchess of Cornwall, and parliament presiding officer Elin Jones, she said “I’ve been hearing all about COP … I still don’t know who’s coming.”

On the recording, parts of which are inaudible, the queen also appears to say it is “irritating” when “they talk, but they don’t do.”(太字筆者)

出典:Britain’s Queen Elizabeth Is Not Amused by Climate Inaction | Time

つまり、エリザベス女王が言ったことははっきりしているのは、「COP26に誰が来るのかまだわからない」のところだけ。その後の「彼らは話をするだけで行動しない」「歯がゆい」と聞こえる部分とのつながりは、録音からは分からないわけです。

さて、COP26について、この時点で分かっていたのは、

  • 女王が10月末から英グラスゴーで開かれるCOP26に、各国からの参加者を迎えるために出席する予定であること
  • 10月15日の時点で、中国の習近平主席がCOP26に欠席する見込みであると報じられたこと
  • オーストラリアのモリソン首相が、COP26には参加しないかもしれないと言っていること
  • ロシアのプーチン大統領がCOP26の不参加者リストに載っていること

ということです。

なので「COP26に誰が来るのかまだわからない」の後に「彼らは話をするだけで行動しない」「歯がゆい」と聞こえてくれば、「ロシアとか中国のことを言っているのかな?」と想像するのも分かります。

でも、根拠がないんですよね。気候変動うんぬんを抜きにして、単純に、自分が参加する行事に誰が来るのか分からないのは困るという話だったのかもしれないのです。

まとめ

よって、今回のニュースは、

  • エリザベス女王は、10月末から開催される国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)に出席する予定
  • そんな女王陛下が、カミラ夫人とCOPについて話しているところを偶然録音された
  • 録音された発言に『COP26についてはいろいろ聞いてきたけど誰が来るのかはまだ分からない』とあった

という理解にとどめておくぐらいでよいでしょう。

ところが、「TIME」の別の記事には、環境活動家のグレタさんの発言を引き合いに出して、今回報じられたエリザベス女王の発言を語るものもあります。

Queen Elizabeth and Greta Thunberg Are Sending the Same Message on Climate Change. Will World Leaders Listen?|TIME(英語)

タイトルを和訳すると、「エリザベス女王とグレタ・トゥンベリは気候変動について同じメッセージを送っている」となります。

グレタさんは、常々、各国のリーダーは口だけで何もしないと批判しており、2019年9月の環境集会でも、「2050年までに実質ゼロ、なんたらかんたら(Blah blah blah)…」と政治家の物真似をしながら皮肉ったことで話題になりました。
しかし、エリザベス女王の「彼らは話をするだけで行動しない」にグレタさんと同じメッセージが込められているかどうかは分かりません。

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