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『残念和食にもワケがある 』の感想—料理写真が残念な理由は?

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『残念和食にもワケがある – 写真で見るニッポンの食卓の今』の感想。著者の岩村暢子さんが20年来実施している「食DRIVE調査」に基づき、家庭の「和食」の実態を報告する本です。

「食DRIVE調査」とは、「1960年以降に生まれた、首都圏に在住する、子どもを持つ家庭の主婦」を対象とした食に関する調査です。1998年から2016年まで原則年1回行われ、これまでに413人の主婦へのアンケートを敢行し、1万5000枚以上の食卓写真を収集しています。

本書は、そんな調査結果の中から「残念な和食」というテーマに沿うものを選んだものである模様。従来の「和食」や「家庭の団らん」とはかけ離れた食卓の様子が、

「白いご飯は味がないので苦手」
「味噌汁はあってもなくてもいい」
「給食で初めて煮物を食べる子どもたち」
「箸が消えていく」
「マグカップの味噌汁・洋皿のご飯」
「二世帯同居の交わらない台所と食事」

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というなかなか衝撃的なフレーズとともに紹介されています。岩村さんは「決して和食の崩れを批判する本ではありません」と強調していますが、伝統やしつけ、バランスにうるさい人が見たら「それ見たことか!」と勢いづきそうなレポートが多いですね。

私自身は、自由な食卓はよいことだという考えです。

和食を一汁三菜だとして(本書にははっきりした定義がない)、それを家庭で手作りすることにこだわるあまり、準備や後片付けでストレスをためたり、技術や知識がないために食材を無駄にしてしまうなんてことがあるとしたら、こんなに馬鹿らしいことはないと思っています。

やりたい人が伝統を大事にするのはけっこうですが、仕事や勉強や料理以外の家事や趣味に重点をおくよそのご家庭に強制するもんじゃないだろうと。

にもかかわらず、最初に本書をパラパラとめくった時は、「日本の食卓は終わったのか…」と思いました。というのは、掲載されている写真がどれも汚いんですよ。

意図的に家庭の食卓を汚く見せて、「ほら、今どきの食生活はダメでしょ?」という方向に持って行きたいのかと疑惑を抱いたぐらいですが、巻末の説明を見て事情が分かりました。

食DRIVE調査における写真撮影は、デジカメ禁止。被験者は、配布されたレンズ付きフィルムで撮影し、未現像のまま提出しなければいけないそうです。すなわち、写りを確認して色を補正したり、撮り直したりということができないんですね。

これは、できるだけ素のままの食卓を写すという趣旨であるとのこと。

デジカメやスマホを使わない現代日本人の写真テクというのはこうであるか、と変なところで感心するとともに、本書を読むにあたっては、そのへんを考慮に入れる必要があると思いました。よく見ると、ちゃんとした食卓も結構あります。

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