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『ぼくのつくった書体の話 活字と写植、そして小塚書体のデザイン』(著・小塚昌彦)を読みました

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『ぼくのつくった書体の話 活字と写植、そして小塚書体のデザイン』(著・小塚昌彦)を読みましたので、今日はその感想を。

本書は、「毎日新聞書体」「新ゴ」「小塚明朝」「小塚ゴシック」などの書体を手がけたタイプデザインディレクター小塚昌彦さんの初めての著書です。小塚さんが、1947年に18歳で毎日新聞に入社してから、本書が書かれた2013年までの66年の歩みが、書体デザインの基本知識や歴史をひもときながら語られています。

現代では、「書体」という言葉は、一般に「フォント」とほぼ同じ意味で使われ、「書体」と聞くとパソコンの文字の種類を思い浮かべる方も多いと思いますが、小塚さんのキャリアは、パソコンなんか影も形もなかったその昔、金属活字の鋳造から始まりました。

そして、写真植字(いわゆる写植)の時代を経て、1990年代にデジタルフォントの小塚明朝、小塚ゴシックの製作に至るわけですが、一人の人が、60年以上にわたり、これだけの技術の変化に対応して、優れた書体を作り続けてきたとは、ただただ驚きです。

また、本書を読むと、ひとつの書体が完成するまでには、膨大な時間と作業量が必要であり、考えなければならないことが山ほどあることが分かります。

例えば、明朝体の文字の横棒の右端に、ちょんと乗っかっている三角形の飾り。あれは業界で「ウロコ」と呼ばれるらしいのですが、そのウロコの山型の頂点をどの位置に持ってくるかで文字の印象は変わるそうです。

ハネやハライや「、」(点)など、多くの漢字に共通しているけれど、それぞれ位置や大きさが異なる部分をどうデザインするかも重要なテーマで、小塚さんによると「、」はもっとも難しいとのこと。なるほど、裏表紙の「、」にはそういう深い意味があったのですね。
裏表紙の「、」

そしてさらに、書体の文字は複数組み合わせて使われるものですし、また、色々なサイズで使われますので、文字と文字を並べたときのバランスや、大きくしたり小さくしたりしたときの判読性まで考えなければならないという。これはもはや神業だなあと私は思った次第です。

実はこれまで、フォントを作った人は著作権を放棄して、幅広く世の中の役に立てて当たり前じゃないか?なんていう疑問を抱いていたのですが、本書を読んで、意識が変わりました。今後は、バナーやタイトル画像を作る際に、感謝の念をもって、フォントを扱うことになりそうです。

ぼくのつくった書体の話 活字と写植、そして小塚書体のデザイン

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