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『日本のデザイン――美意識がつくる未来 』 を読みました

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無印良品のアートディレクション等を手がけたデザイナーの原研哉さんの著書。雑誌『図書』に2009年から二年にわたり連載されたエッセイをまとめたものだそうです。原さんは、日本人の根底に流れる価値観を「繊細」「丁寧」「緻密」「簡潔」というキーワードで表現。そして、それらの価値観が、移動(車)、住まい、観光などのデザインの場面でどのようにあらわれてきたのか、今後どのようにそれらの価値観を活用していくべきかを力強い筆致で語ってくれています。

どの章も興味深かったのですが、もっとも関心をひかれたのは第2章の「シンプル」という概念について書かれた部分でした。というのは、先日のこのブログのIKEA探訪記事で「シンプル」という言葉を連呼したところ、「シンプルってどういう意味?」と亭主に尋ねられ、答えに窮してしまったということがありまして。改めて「シンプル」って何だろう? って考えていたところでしたので、渡りに船という感じだったのです。

原さんによると、「シンプル」という概念が生まれたのは約150年前。欧州で産業革命が起こり、近代市民社会が到来した頃だそうです。古来、王族や貴族たちは、建築物や道具・家具などを複雑な文様や形で飾り立てることによって権力を誇示してきました。しかし、新しい社会においてはそのような必要はなくなり、装飾は前時代の遺物、むしろ素材と用途に従った簡潔なデザインが好ましいという価値観が生まれてきた。これが「シンプル」の誕生だという話です。

つまりシンプルは、装飾的な状態と比較した相対的な概念だというわけですね。余分な装飾をそぎ落とし、かつ好ましいのがシンプル。という考え方からすると、単に簡素で単純なのはシンプルとは言えないということになりそうです。原さんも、石器時代の道具はシンプルではなく「プリミティブ」だと。うーん、シンプルのつもりのデザインがプリミティブになってないかどうか、これは自分のデザインを猛省する必要がありそうです^^;

という視点を与えてくれた原さんが代表をつとめる日本デザインセンターのサイトはこちら。本書で紹介されている展覧会の詳細を見ることができます。

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