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『松永真、デザインの話。』(著・松永真)を読みました

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グラフィックデザイナーの松永真さんの著書『松永真、デザインの話。』を読んだので、今日はその感想です。

松永真(まつなが しん)さんは、数々のロゴやパッケージデザイン、ポスターの傑作を生み出し、国際的にも評価の高いグラフィックデザイナーで、現在はJAGDA(公益社団法人 日本グラフィックデザイナー協会)の理事を勤めている方です。

その名前に聞き覚えがなくとも、ティッシュペーパーの「スコッティ」、タカラ「カンチューハイ」、資生堂「uno」のパッケージデザインや、雑誌「non-no」「MORE」「LEE」のタイトルロゴ、ベネッセコーポレーション、カゴメ、カルビー、バンダイの会社ロゴを手がけた人だと言えば、そのすごさがお分かりいただけるのではないでしょうか。

本書は、そんな松永真さんが雑誌『アゴスト』(創刊時は『STEP-BY-STEP』)の連載として書き下ろした文章をまとめたものです。1993年3月号から、2000年11月号までの間に掲載された32編を収録。

松永さんのデザインには、無駄なものを削ぎ落とした、研ぎ澄まされたものが多いので、読み始める前には多少緊張していました。難解なデザイン論が展開されるのではないかとか、高度な知識がないと分からないのではないかとか。

しかし、そのような心配は全く無用でした。どちらかというとデザインそのものについての話より、その周辺の制作秘話や裏話が多く、初心者でも気軽に読める内容となっています。

私がいちばん気に入ったのは、1972年の明治チョコレートのキャンペーン「おれ、ゴリラ。」にまつわる、事務所の隣のおばあちゃんとのエピソードです。

隣のおばあちゃんは、松永さんが手掛けた資生堂のポスター(松永さんは、資生堂のデザイナーとしてキャリアをスタートした)を見ても、松永さんとそのポスターの関係を理解してくれません。

一生懸命説明しても、私が写真を撮ったわけでもコピーを書いたわけでもない。活字だって既存のものだ。

「ふ~ん、それで松永さん、結局あんたは何をやったの」となる。

(中略)

そこで、どこから見ても私が作ったとしか見えないものを必ず近い将来作って、隣のおばあちゃんに見せてやろうと思っていた。

ということで、手描き文字で埋め尽くされた「おれ、ゴリラ。」の広告が誕生し、それが話題となり、賞まで取ってしまったという話です。微笑ましくある一方、デザインとは何かという、かなり根本的な話なのではないかと考えるところがあったエピソードでした。

他にも、ワルシャワ国際ポスターデザインビエンナーレで受賞したという華々しい話から、コンセプトが企業側に伝わらず、中途半端な形で採用されたデザインを「そばぼうろ」と揶揄されたという、かなり屈辱的なエピソードまで、盛りだくさん。

デザインを志す人はもちろん、スコッティや宝酒造、バンダイやカルビーなどなどのファンの方にはご一読いただきたい一冊であります。

ところで、「まつなが しん」と聞いて「大尉」という言葉が反射的に浮かんだ方のために付け加えておきますと、バンダイとサンライズによるプラモデルを主とする企画『モビルスーツバリエーション』に登場するシン・マツナガ大尉。

機動戦士ガンダムMSV‐R 宇宙世紀英雄伝説 虹霓のシン・マツナガ (2) (カドカワコミックス・エース)

その名は、バンダイがロゴタイプの制作者である松永真さんをリスペクトする意味で名付けられたという話です。本書では触れられていないのですが、この記事を書くために、「松永真」と検索したところ、複合語の候補として「ガンダム」が挙がるので、何だろうということで調べてみて、初めて知ったという。

いや~、ガンダムもグラフィックデザインも、常に関心の的である私ですが、まさか両者にこうした接点があるとは、驚きでした。自分の興味対象を追求していると、色々つながってきたりするものなんでしょうかね。

松永真、デザインの話。

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